神社と巫女?
ある神社にたたずむひとりの影。
それは小柄で背も低くてだが、これだけなら小学生に見えるだろう。
だが、確実に違うところがある。 それは胸部だ、二つに実った果実のような部分を持っていることである。
まあ、本人としてはそれもコンプレックスなのだとか。
そんな女の子は巫女服に身を包んでおり、手には箒があり、それで地面を掃いている。
そばでは女の子によくにたぷちも同じ姿でおり、同じように箒で掃いていた。
そんな女の子の名前はつぐみでぷちはつぐぴょんという。
「ふう、こんなもんかな」
「みゅふ~♪」
額の汗を腕でぬぐいながら言う女の子とそれを真似するぷち。
見ていると癒される気分になるのはきっと間違いではないだろう。
「そっちは終わったみたいね」
「あ、蓮華さん! すいません、手伝わせてしまって」
そこへつぐみにとっては芹香の次に姉として慕う蓮華が歩いてきた。
なお、彼女が巫女服を着せられているのはつぐみ母が笑顔で押し切ったからだ。
似合わないと思っている本人からすれば、居心地が悪く思えてしまうが。
その時につぐみ母は蓮華が着てくれないとつぐみも着ないと言い出すかもしれないからっと言われて渋々折れたのだ。
「いや、これくらいはどうということもない」
「あはは、そうですか。 でも、巫女服のことは無理やりで本当にすいません」
蓮華は気にすることはないと微笑みかけ、つぐみは笑みを見せるが巫女服の時に嫌がっていたことを思い出して謝罪する。
つぐぴょんは蓮華に近寄り、手を伸ばしていた。
抱っこしてもらいたいのだろう、蓮華が大好きなつぐぴょんは彼女が来る日をいつも待っているほどだ。
「いや、まあ……あそこまで押し切られるとは思わなかったし。 つぐみは悪くないから」
「でも……お母さんもだけどおばあちゃんまでノリノリだったし」
「みゅ~?」
つぐぴょんを抱っこしながら蓮華は苦笑しながら言うとつぐみは着替えさせられた時のことを思い出す。
あの時は、なぜか母方の祖母までもが参加したのだから当然といえば当然なのだが。
つぐぴょんは不思議そうに首をかしげながら見ている。
「いや、まさかこの日に家族が帰って来てるなんて思わなかったんでしょ?」
「それは……そうなんですけどね」
なんとか気分を上昇させてあげようとフォローする蓮華につぐみは想い出してつぶやいた。
そう、つぐみは蓮華に帰りに誘われたが、神社に掃除に行く日だからと断ったのだが。
なら、手伝うと言われて嬉しくて二人で神社に来たら両親が帰って来ていたのだ。
思わずつぐみはハニワのポーズになってしまうほどの驚きだった。
これが、原因で二人は巫女服を着るはめになったのだ。
「つぐみ~? 蓮華さん、そろそろ入ってお茶でもどう~?」
落ち込んでいるところへ、つぐみ母が歩いてきた。
つぐみの母親は赤茶色の長い髪を後ろにまとめてゆっており、着物姿だった。
和風美人で大和撫子とはこのことをいうのかもしれない。
「あ、うん。 蓮華さん、行きましょう」
「そうね、早く着替えもしたいし」
「ないない~♪」
つぐみは頷いてから蓮華に声をかけると彼女は頷いてつぐぴょんを抱っこしたまま揃って歩き出す。
そして神社の中にある屋敷に入り、そこでお茶とお茶請けを仲良く食べた。
「ところで、お母さん。 いつ頃帰ってたの?」
「今朝よ♪ 脅かそうと思って内緒にしてたの♪」
つぐみの問につぐみ母はにっこりと笑ってつぐみを抱きしめる。
いきなりのことでばたばたと暴れるが次第におとなしくなるつぐみ。
恥ずかしそうにうつむいているあたり、慣れていないのだろう。




