澪次ラヴァーズ推参!!
最近ラヴァーズの方が書きやすいという点(爆笑)
「や~、きょうびの夜は月が見えて綺麗やな~♪」
「ふふ、そうだね。 月を見るのは結構楽しいしね」
夜の中で街中を歩く二人の男女。
ひとりは水色のロングヘアーの少女で美人という言葉がよく合う容貌をしている。
もうひとりは長い前髪で片方の目を隠した優しそうな雰囲気をした少年である。
そんなふたりの頭上にはそれぞれによくにたぷちが乗っており、きょろきょろと周囲を見ている。
ちなみに名前はみっくーとれいくんというらしい。
「こらこら、落ないようにするんやで?」
「深紅、大丈夫だよ。 れいくんもいるしね」
そんな二匹に注意する深紅に少年はにっこりと笑った。
彼の名前は夜瀬澪次といい、深紅とコンビ組むとナチュラルシュガー3とも言われている。
ほかにあと二名いるがここは割愛しておこう。
「や~で」
「くす」
みっくーがれいくんにべったりくっつくと優しげな表情で頭を撫でていた。
そんな二人を見て仲のよい夫婦だな~と思って眺める通行人がいたが、この二人は気にしていないだろう。
「あら、二人共仲良くお買い物かしら?」
と、ここで声をかけられて声の主を探すと黒髪のロングヘアーの女性が歩いてきて笑みを見せる。
暗闇から現れる姿はどこかミステリアスな雰囲気をかんじえない。
「ええ、そないなとこどす。 霜月かいちょうはんもですか?」
「よかったら霜月さんもどうかな?」
深紅が笑みを見せて頷くと澪次が目の前にいる女性に尋ねる。
まさか誘われるとは思ってなかったのか、驚いたように目を丸くする霜月。
そんな彼女の足元にはいつのまにか二人の頭上から降りていたぷち二匹が彼女の脚にぴっとりとしがみついてる。
「あらあら……あなた達も一緒に来てほしいの?」
「やーで!」
「ふふ」
苦笑しつつしゃがんで二匹の頭を撫でて問いかける霜月。
その様子を見て見惚れる男性達が多くいることはいうまでもない。
二匹は彼女をまっすぐ見つめて頷いた。
「そんなに誘われたら仕方ないわね。 いいわ、行きましょう」
「ナイスや、みっくーとれいくん!」
「深紅も一緒に買い物したいなら言えばいいのに」
仕方ないという感じはあまりなく笑みが見えた。
これをすぐに視認できるのは深紅や澪次くらいだろう。
他の人からしたらわかりにくいと思えるからだ。
サムズアップする深紅に澪次は苦笑を見せて頬をつついた。
「あら、そうなの? 深紅ちゃん」
「そうや! 霜月かいちょーも澪次ラヴァーズの一員なんやから当然や!」
くすくすと意地悪そうに笑う彼女に嘘ついても意味がないことをわかっているから暴露する深紅。
ラヴァーズとは、ひとりの異性に複数の異性が好意をもつことをいう。
実際、霜月も深紅も澪次をほっとけないでいるからこそ、ここまで親密でいられるのだ。
まあ、深紅の場合は澪次のことに関して理解をしてくれる人物が多くなるのは良いことだと思っているからかもしれない。
「いつも思うんだけど、なにそれ?」
「なんか、生徒のみんながそう決めたようやで?」
「そういえば、新聞部でもそういうの流れたわね」
澪次がこてん、と首をかしげて問いかけると深紅は笑みを見せながら答える。
霜月は深紅の話を聞いてそういったものを視認したことを思い出す。
「でも、なんで僕らが対象なんだろうね?」
「さあ? わっちにもわからんえ」
「まあ、いいじゃない。 こんなに素敵な夜なんだから、楽しまないと、ね?」
澪次がそう言うと深紅もわからないようすだ。
そんな二人に声をかけてぷち達を抱っこすると歩き出しながら振り向いて赤い瞳を細めながら笑った。
「楽しむのは買い物だと思うけど、そうだね」
「じゃあ、楽しく買い物しよーで♪」
「ふふ、じゃあ……エスコートお願いね? 澪次」
苦笑しつつ夜空に輝く月を見てから笑う澪次。
深紅は三人の手を繋いで笑いかけ、霜月は澪次にウインクしたのだった。




