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子猫の猫又と由香里

由香里が散歩していると、段ボールにはいった子猫の猫又がそこにはいた。

 まだ、人間に変身はできないのだろうことはみてとれる。

由香里はしゃがんで、視線を合わせてすっと片手を差し出すとすんすんと匂いをかいでいる。

 するとどうでしょう、手をぺろっと舐めてすりすりと頭をこすりつけている・・・・。

「おまえ・・・・まい、ご?」

「にー」

首をかしげて問いかけると返事をするように返す。

 それを聞いて周囲を見渡すが親らしき影は見当たらない・・・。

「・・・・・いな、い」

困ったように腕を組んでしきりに悩む由香里。

 もともと猫が大好きな彼女にとって見捨てるという選択はなきにひとしい。

だが、うかつに連れ帰って親が探していたらこの子の親が困るのでは?という考えもよぎる。

「みー、みー」

「よし、よし・・・」

甘えるように鳴かれて頭を撫でて耳元などをくすぐるとぐるぐると喉を鳴らす。

「ひと、なつっ、こい?」

それはたぶん違うだろうと声を大にしていいたい。

「にー」

由香里の膝の上にのり、前足でもみもみとスカートにしている。

「・・・・・これは・・・・・母親・・・・間違い?」

いくら、猫に似ているからといって間違いされるとは思わなかった由香里。

 多分、このままではこの子は危険な目にあうだろう。

子猫の猫又を抱えたまま、カバンから羊皮紙をとりだして鉛筆をとりだし、文字をかいてテープを使い、壁にはる。


「これで・・・・よし」

子猫の猫又を抱きなおして、急いで帰路に向かう由香里。

 おなかすいているかもしれないというのがよぎっていたからだろう・・・。

大きな豪邸に静かに入ると、抜き足差し足で中を歩く。

 気づかれないようにして歩いていることはとうにわかるだろう。

そのまま部屋に入ると、カゴに子猫の猫又をおくと、制服を脱いでらふなワンピースに着替える。

 お湯と桶を急いでもって戻ると、子猫の猫又の汚れたからだを怖くないようにやさしく拭いてやる・・・・。

「みー」

「きもち、いい? ・・・・よかった」

子猫の猫又の声に安堵して優しく拭いていく由香里。

 しばらくして綺麗になると、新しいタオルで拭いてやる。

そして、子猫の猫又ようミルクをもってくると、お皿をさしだす。

すんすんと匂いをかいでから由香里を見上げる子猫の猫又ちゃんに由香里はうなずいていた。

すると、ぺろぺろとミルクをなめだした。

 妖怪用の猫のミルクがちょうどもっていたのでそれをもってきたのだ・・・。

「にー」

「おそまつ、さま」

口元をティッシュで拭いて抱き上げるとすりすりと甘えられる由香里。

 これには間違いなく母親と勘違いされていることがわかるだろう・・・・。

猫用のネコジャラシをゆらゆらとゆらしてやると、それに飛びつく子猫の猫又。

 まだ子猫なので遊び盛りなのだろう・・・。

「(・・・・・どう、しよう。 思わず連れて・・・・帰ってきた・・・けど)」

遊びながらも悩む由香里はこの子猫の猫又の両親である。

 なんであそこにいたのか、それがわからないし両親も見当たらない。

嫌な予感がよぎるが、この子猫の遊び相手はきちんとしないといけないと切り替える。

「みっみっ」

「げんき・・・・」

楽しそうに遊ぶのを見て癒される由香里なのであった・・・。


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