深紅と澪次の買い物デート(笑)
今回は一夜様の澪次と家の深紅のお話です♪
朝、人気のない林の中で二人の人影があった。
その二人とは水色の長い髪が腰まである少女と黒髪で片目だけが前髪で隠れるほどの少年だ。
刀身の長い木刀をもち、正座している少年は木の葉が舞うと、木刀を抜き放つ。
すると、はらはらと木の葉がちぎれて落ちていく。
「お~、さすがやね。 澪次」
「そういう深紅もね」
木に的当てを設置されており、それめがけて苦無を投げつける少女……名は神埼深紅。
それを見てふんわりと笑う少年……名は夜瀬澪次という。
的には苦無が中央に刺さっていた。
距離は結構離れているのにも関わらずに刺さるのも彼女のコントロールが良いからかもしれない。
ここにいることからこの二人は軽い訓練なるものをしているようだ。
「そうやろうか。 わっち的にはまだまだのような気もするんよ」
そう言いながら鞄に触れると双太刀が深紅の前に現れて、それをなんなく掴む。
柄を逆向きにして使用するのが深紅流のようなものだ。
彼女はほかの武器で挙げるなら鎖鎌なども使用するらしい。
後は、火縄銃なども使ったりはしているようだが、身を隠して動くなら動きやすい武器でいくことにしているようだ。
相方に合わせた動きができるのも深紅ならではなのかもしれない。
いや、その相方でも澪次のような多種多様な武器使用するのはそうはいないだろうが。
「それでまだまだ、か。 なら、僕も負けないようにしなくちゃね」
そう言いながら深紅の隣に来て笑みを見せる。
優しげな雰囲気がこの森の中で満ちてくるのは、この二人が原因だろう。
「やで~」
「あ、そろそろ行こうか」
「もう、そないな時間なんか。 そやな、行こうで」
そこへみっくーが熊にまたがったままこちらに向かう姿を見つめる澪次は深紅の頭を撫でて言う。
深紅は澪次を見つめて微笑みながら立ち上がるとみっくーの方へと歩き出す。
~~~~☆
「うーんと、あらかた調達するものは買ったね」
「うん、それくらいやったらえぇやろ」
都会の街を二人で歩く姿を、ちらほらと視線が集まる。
よくある都会人の服装をエリザに進められて着ている澪次と深紅。
まあ、都会の服装感覚とはちょいとずれがちではあるが。
ただ、注目が集まるのは彼らの持ち物によるものだとは予想はしないだろう。
予想外の多さも注目を集めることに変わりはない。
「ちょっと、休憩しようか」
「ほんなら、あそこの洋菓子店にでも行こうかえ」
買い物紙をしまいながら澪次が言うと深紅は、ちょうど目にはいった場所を指で指して伝える。
澪次は視線をそちらに向けてから、頷いた。
そして二人は洋菓子店へと歩いて向かうのだった。
「いらっしゃいませ~♪」
二人が入ると明るい声が聞こえてきて、目の前にくる店員。
どうやら女性のようで、すらりとした足と凹凸のある体型はどれをとっても素晴らしい。
髪型はウエーブのセミロングのようで、彼女によくあっているように見える。
そんな彼女はにこにこと笑顔で二人を見ると写真を撮り、二人に手渡す。
さりげにお似合いのカップルですね、と言いながら深紅と澪次を席へと案内した。
「なんか、変わった子やね」
「それを深紅が言っては駄目な気がするんだけど」
席につきながら深紅が言うと澪次は苦笑を見せていた。
それを不思議そうに見てはメニュー表を取り出して、中身を見る深紅。
暫し吟味してから、澪次へと視線を向けると。
「わっちはこのローズティーとモンブランにしようと思うんやけど」
「じゃあ、僕はジャスミンティーと抹茶ケーキにしようかな」
深紅がメニューを澪次に見えるように見せて言うと、澪次はそれを見てすぐに答える。
お互い注文するものを確認すると、ベルを鳴らす。
すると先ほどの女性が来て笑顔で注文を聞いてきた。
深紅と澪次はそれぞれ注文すると、彼女は綺麗なお辞儀をしてここから去る。
「ここは雰囲気のある店やね?」
「そうだね、なんか落ち着きもあるし。 店長の趣味かな」
店内を見渡して注文の品がくるまで待つ深紅と澪次。
まばらではあるが、店内にはちらほらと人がいるのが視認できる。
店内の明るさはほどほどに西洋のテーブルにランプなどがあり、それは落ち着きのある光景だった。
暫くしてさきほどの女性が来て、注文の品を置いていく。
「それではごゆっくりどうぞ♪」
と、それだけを言って注文表を置いて、静かに去る。
見送ると深紅と澪次は紅茶を口に含んで飲み込むと、ほっと息をはく。
「美味しいな~♪ まあ、澪次には負けるけど」
「僕のと比べたら失礼だよ、深紅」
にこにこ笑顔の深紅に澪次はくすりと笑って注意する。
そしてモンブランに手をつけて、器用に切り分けると。
「澪次、あーん♪」
「あーん、もぐもぐ……。 うん、美味しいね」
深紅は笑顔で澪次の口元に向けると、気にしたふうもなくすんなり食べる。
その行動はどこか恋愛関係のある恋人みたいに見えるのだが、本人らには自覚はないだろう。
そんなほんわかした行為をしあう二人が、裏では血なまぐさいことをしていると誰が想像できようか。
ただ、今だけはこの二人の平穏を見ていたいと思うのは、当然のことかもしれない。
「お返し♪」
「あーん♪ ぱく、もぐもぐ。 ん、美味しいえ♪」
澪次がそう言いながら深紅の口元に抹茶ケーキの半分をもっていくと、それを食べて笑う。
そんな二人の行動を見て、ところどころで砂糖をはいている客がいたのはいうまでもない。
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