聖剣少女?
思いつきなのですよ~!
「もらった……っ!!」
「うわっ!!??」
一人の金髪のポニーテールの少女と一人の青年が剣の打ち合いをし、青年が少女に負けたのだ。
「それまで!!」
それを傍観していたひとりの初老というかダンディな男性がそう言う。
「あ~……またおれの負けかよ……。また強くなったんじゃないのか?」
「かな?だったら嬉しいなじゃあ、お父様。私はそろそろ夕食の支度に戻りますね」
青年はどこか悔しそうにそう言うと少女はどこか嬉しそうに笑うのだった。
「ああ」
このダンディな男性は少女の父らしい。
だが、髪の色からみても同じには見えないのだが。
「こんにちは~!!」
稽古に使った剣を片付けながら、少女が家の方に戻ろうとした時だった。
「エルレイン!どうしたの?」
「母さんがフルーツオムレツ作ったから呼びに来たの。
今、稽古終わったところでしょ? 夕食の支度の前にちょっとうちで飲もうよ」
少女は知り合いの少女――――エルレインに気づいて笑顔を浮かべる。
「フルーツオムレツ!!うわ、おばさま有難う……!
うわぁぁ!今日のも美味しそう~!!やっぱりおばさまが作るのには敵わないなぁ」
「そんなことないでしょ、もう家事は完璧じゃない。
もう5年……だっけ、亡くなってから」
彼女の名前はエルレイン。
隣の家に住んでいる。少女の一番親しい友達である。
そしてエレインの母親、
5年前に少女の母が病気で死んでしまった時に色々と助けてくれていたのだ。
「うん。おばさまに助けて貰わなかったら絶対もう飢え死にしてた」
優しい母に全部任せっきりだった父と兄と自分。
少女も家事は全然出来なくて、見るに見かねたエルレインの母が、料理も洗濯も
掃除も全部手伝いに来てくれるようになった。
そして、それをてつだっているうちに、自然と少女は家事を覚えていったのだ。
話にでてきたフルーツオムレツは、そんな優しいエルレインの母が一番得意なお菓子なのだ。
何度も教わったのに少女が焼くとふんわり感が足らなくて、
これだけは自分で作らないことに決めているのだとか。
薄く焼いたケーキの生地に刻んだ果実とクリームをたっっぷりと。
季節によって載る果実は色々変わる。
今は春だから蜂蜜漬けの林檎を薄く切ったものや
真っ赤に熟れた苺、そしてナッツが溢れそうなほどに盛られている。
「お父様もお兄さんも全然家事できないんだもん」
少女はクリームとナッツをスプーンですくって口に運ぶ。
そして食べたときにとろけたような表情を浮かべるのであった。