吸血鬼の子はやはり吸血鬼
以前、タイムスリップしてきた少女がいたことは覚えているだろうか。
そう、その少女がここにいるのだ。
年のくらいは裕理と同じと思われるが、なんせ元の種が種だけに外見通りとはいいがたいのだ。
まあ、見た目からして裕理と同じであることは理解できるだろう。
「すやすや」
「よく寝てるね」
「せやな? それにしても驚いたで未来からきたわっちらの娘やなんて」
「となると、わたしはおばさんかぁ・・・・まだ若いのに」
澪次の膝に頭を乗せて眠っている黒髪ポニーテールの少女。
この少女は現在、ここにいる二人の子供なのだから驚きである。
ライネス・フュールと七宮桐人がこっそりとその様子を眺めているようだ。
七宮四朗もその様子を覗いており、その妹のレイネス・フュールもひょっこりと覗いている。
ちなみに桐人と四朗は男物の着物を着ているので澪次も同じ衣装で深紅も着物を着ている。
娘といった少女――深羽も同じように着物を着ている。
ここに来てからずっと深紅と澪次から離れようとはしていないようである。
「髪色は僕に似て、顔立ちは深紅よりかな?」
「せやろうな? アイルレイムにも伝えひんのん?」
髪を優しく撫でながら言う澪次に深紅は問いかけると。
「連絡はしたから来ると思うよ?」
「ほな、従者もつれてやな」
と、言う澪次に深紅はどこか嬉しそうに言う。
「じゃ、じゃあわたしは深羽ちゃんを連れて遊びに」
と気後れしたように話すレイナに澪次と深紅は苦笑を浮かべていた。
まあ、無理もないことくらいわかっているのだ。
「懐かしいな~。 深紅を拾ったころと同じだ。 まあ、あのときはふつうの子供だと思っていたんだけどさ」
「ふふ、気まぐれにわたしたちも連れ出してくれたときもこうだったわね。 まあ確かに、見た目じゃわからないのよね~」
桐人とライネスはくすくすと微笑んでそんな話をしていた。
「お兄ちゃんは早くレイナと付き合ってくんないと困るんだけどな~」
「ちょ、レイネ!?」
むす~とむくれながら言う彼女に慌てる四朗。
レイナは不思議そうに視線をむけると彼は慌てていたりする。
「近いうちにレイナの娘も来たりしてな」
「冗談にならないよ、深紅」
笑う深紅に澪次がとがめるのであった。