鏡合わせ
よくあることだ平行世界の自分が違う存在だったということなんて。
だから、いまの状態もそんな感じだといえよう。
「ふーん、そっちのわっちはふつうの魔術つかいなんやね?」
「その言い方やと、そっちは違うようやね~」
お互い着物を着ており、のんきにお茶を飲んでいるのはこのふたりくらいだろう。
ひとりは生まれながらの真祖でもうひとりはただの人なのだから。
こんな出会いなんてめったにないことだろう。
いや、あるとしてもそんな考えなど浮かばないといってもいいだろう。
二人の少女水色のながめのセミロングでポニーテールにして結ってる。
そういえば、ふと深紅は思った。おとんはわっちをみたとき、かなり驚いていたような記憶がある。
なのでこっちのわっちにも聞いてみることにした。
その気配で理解した真祖である深紅は笑って見つめた。
普段は同じエメラルド色だが、一瞬で色が赤にかわることがある。
彼女は特殊な真祖なのだろうか。
「神崎直人が驚いていたかってことやったね? せやね、ひとめみたときに驚いていたで
ここにひとりですんでいるのかって聞かれてそうだと答えたとき、どこの馬の骨もわからない自分の養子になってくれないかっていうてきたんよ? まあ、そのときは力をセーブしてたから保護しないといけないと思うたんやろ」
「それで一緒に行ったんか?」
深紅はもうひとりの自分に問いかけると彼女は微笑んでうなずいた。
人をしるには彼についていくのも利口な考えだと思ったからだそうで。
それがおもったより楽しくて毎日が楽しかった。
そんな中で出会った少年との出会いも楽しかったなぁと言っていたので深紅はそれが誰なのかすぐに気づいた。
それは自分も同じで楽しい日々をすごせたからである。
別々の自分なのに出会う人物は同じということにちょっと驚きもあったし、なにより父が引き取ったことにも驚いた。
彼女が言うには自分が真祖だが、いいのか?とも聞いたらしい。
それでもここより広い世界を知らせたいからできたらついてきてほしいと言われたらしい。
でも、後悔もあったらしい。 自分がいることで狙われて命を落とすことになったのだから。
ここはどちらの自分もおなじなんだな~と思ってしまった。
「なあ、わっち・・・・入れ替わることができたとしたらどないする?」
「わかりきった答えを聞くんやな? こっちはこっちで楽しいから却下や」
とそう深紅がいうともうひとりの彼女はくすくすと笑った。
とてもどこか楽し気に彼女は笑っていた。
そしてそれはこっちも同じ、良かったと彼女はいった。
そっちの自分も楽しい日々ならそれにこしたことはないからと。
ああ、でも、出会う人物はもしかしたら違うかもしれないとも言っていた。
まあそうなるだろう、無限の平行世界の中で別々に出会う人が違うなんてことないなんてことはありえないから。