あたしは狼の魔獣ですよ!
・・・・・ここはどこだろう?
とても暗くてさびしい気分にさせられる。
いま、目の前に広がるのはとても暗い景色だけである。
前の記憶で思い浮かぶのは日の光がふりそそぐ部屋・・・・なんだけど。
いかんせん、光の日の字もはいってこない状況だ。
ついでにわかったことなんだけど、体も動かせないんだよ。
たぶん、壁だと思うんだけどそれに囲まれていて動けないんじゃないかなと思っているんだ。
あたし、なんかしただろうか?
だが、あたしには身に覚えがぜんぜんないのだ。
んと、たしかあたしは平凡な学生であって家にかえり、ベッドで寝たまでは覚えているね。
それいこうが思い出せないんだけどさ。
とりあえず、この壁?をたたいてみることにしよう。
そうしたら外に出れるかもしれないし。
叩き壊すように手でたたいてみたら、パキンという音と共にひびが入った。
これならもう少しであけられるかもしれないな!
よし、がんばれあたし!
それから苦戦しながらもひびを広げることに成功しました。
日の光かどうかはしらないけど、光が見えたことで希望を持てたよ。
割れた瞬間にころんと転がってしまったのはひびを広げるための勢いをつけすぎたからかな?
「わきゅ~!」
ぷは~、しゃばの空気だぁと言ったつもりが鳴き声になっていた。
あれれ?おかしいな、こんな声だったかな?
どことなく鈴を転がしたような音声なんですけど。
ふと、視線を落とすと卵のかけらが周りにあった。
え?・・・・あれ?どういうこと?
落ち着け落ち着け、周りにあるのは大きな卵。
その中心にはあたしがいて、そこから出てきたのはあたし。
どういうこっちゃ!?
不思議そうに周りを見ていると、突然の浮遊感があたしをおそいました。
「驚いた、もう生まれたのか」
視線を向けると美青年がそこにいるではないですか!
しかもあたしを抱き上げているだとう!?
おかしい、あたしはそんなにちっこくないはずだ!
いったいなにが起きているというのだ!?
「わ、わふう~」
ていうか、近い!近くて怖い!!
「ん?ああ、すまない。怖いおもいをさせてしまったようだな」
そういいながらなぞのイケメンさんはあたしをおろしてくれました。
そして、頭をやさしく撫でてくれて抱き上げるのもやさしかった。
「さて、生まれたばかりだし洗わないとな」
そう言いながらあたしを抱っこして扉を開けて出て行く。
ついた先はお風呂場のようで、そこにある桶であたしは丸洗いされた。
まあ、丁寧ではあったんだけどね?
ていうか、ここのお風呂は広すぎる気がするんですけど。
そんなこと思いながら隅からすみまで綺麗にされて再び運ばれました。
洗ってもらっている最中はじっとしていたので、イケメンくんもスムーズに洗えたみたいだね。
イケメンくんはおとなしくしているあたしをみて安心しているみたい。
まあ、最初のおびえようをみたら心配にもなるよね。
「あとは寝床の用意もしないとな」
と、言いながらおそらくイケメンくんの部屋に入る。
部屋に入ると籠がみつかり、そこにはあたしが出てきたと思われる卵のかけらもあった。
「ここでおとなしくしていろよ」
そういうとベッドにあたしをおろして卵のかけらを片付ける。