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つぐみと秀久の朝の場合

ガチャリと扉のドアノブをひねり、中にはいる小柄な幼女。

ふつりあいの魅惑の果実をもっているあたりはお色気ばんばんだといえよう。


「おじゃましま~す。 ・・・・・なにか不穏なモノログがあるような気がする」


現在、つぐみはお隣の上狼家に来ていた。 つぐみの幼なじみの上狼秀久は一人暮らしであるのだ。

ある事件が原因で彼の両親から、「よろしく面倒を見てやってくれ」と合い鍵を預かったばかりか、

何故か、彼への仕送りが自分のところに送られてくるようになった。

おそらく、彼なら自分のことを後回しにすることが多いからというのが理由だろう。


「いくらなんでも心配しすぎなんだろうけど……ね。 まあ、実力行使でいかないといけないところもあるし」


と、苦笑を浮かべながらつぐみは隣の部屋を目指す。

ちなみに秀久を起こすべく、毎朝、彼女は上狼家を訪れていたりする。

勝手知ったる幼なじみの家の中でまっすぐ秀久の部屋に向かうと、ドアにノックをするが返事はなし。

小さくため息をつきながら、つぐみは扉を開く。


「ヒデく~ん?朝だよ~」

「くかーーー」


部屋の主は案の定爆睡していた。

「・・・・反応なし」

そんな彼にため息をもらすと鞄を床に置いてブレザーの腕を捲り、いざ戦陣へと赴く。

「えっと、まずは・・・」

まずは軽くゆすることにしたつぐみは秀久の肩に触れ優しく左右に揺すった。


「ねぇ!ヒデくん。 朝だよー!!」

「う~ん、あと十分~」


そんなことをのたまいながら、秀久は寝返りを打つ。

 するとその場にしゃがみこみ、秀久の耳へと顔を持っていき。


「ヒデくん! もう起きなきゃ駄目だよ!」


何とか起こそうと、声をかけながら秀久をゆすり続ける。

だが、当の秀久は、いっこうに起きる気配がない。


「……よいしょっ」


こうなっては直接問いかけるしかない。

落ちないようにベッドに上り、秀久の腹部の間に膝を付き、前屈みの体制で彼の頬をぺちぺちと叩く。

叩くという行為は彼女自身好きではないが、状況が状況なので仕方がないだろう。


「ヒデくんっ! いい加減起きてよ!」

「………くう」


声をかけ続けながら起こそうとするが、反応なし。


「もー! このままじゃ遅刻だよ!」

「…あと…三万年…」


ゆらゆらと揺らしながら叫ぶが変な寝言を呟く秀久。


「何言ってるの!? うう~……これでも起きないとなると……朝食つくってからの方がいいかな?

もしくはかなり疲れているのか、ううん」


秀久が起きないと理解すると、するりとベッドから降り、秀久の制服を机のそばにおいてからバタバタと簡易キッチンへと向かう。

つぐみがここで朝食を作るのは日課となっている。

ちなみにつくりはじめてから、数分して朝食の匂いに気づいておりてきたようだった。

「ふぁ・・・・つぐみ。おふぁよ」

「あ、おはよう。 ヒデくん、すごいあくびだね」

あくびしながら近寄る秀久を見て苦笑を浮かべるつぐみ。

そんな彼女に気にもせずにテーブルに着席するあたりはしたたかなのかも?

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