深紅の過去?
あれはまだ、わっちが人だったときのことや。
わっちが1人で歩いていると上からなにかが降ってきてそこで鈍い痛みが走って気付いたら血まみれになっていて意識がそこで薄れた。
次に目が覚めたときは病院にいて重い体を起こしてぼんやりしていたら銀色の長い髪の女性が入ってきてわっちに近寄って安堵の笑顔を見せた。
異常な状態に混乱してなにがなんなのかわからずにいると。
女性は口をひらいて話し出す。
「貴女は一度瀕死になったの。 私達が追っていた者に追っていた人物とぶつかりあいながら落ちて貴女に直撃した。
そこで問題が発生したの。 追っていた人物も追われていた人物も貴女を残して死んでいたのよ、多分……軌道をずらそうとしていたのかもしれないわね」
しんみりしながら女性が語る。
わっちは黙ってきくしかなかった。
「わっちが生きているのは……もしかして」
唾を自然と飲み込みながら問いかけるわっちに女性は。
「貴女は聡明ね。 ……そう落ちて死んだ彼らの体の一部を貴女に提供したのよ」
女性は苦笑いを浮かべて答えるとわっちの頭をやさしく撫でてくれた。
「…………これからどうなるん?」
「そのために私が来たの‼ 私が貴女を引き取るわ♪
私がいたら色々対処できるしね♪」
わっちの呟きに反応して笑顔で喋りだす女性。
「それやと迷惑が……」
「気にしないで、私がしたいからするの」
わっちが困りながら言うと女性は笑顔でわっちを引き寄せて抱きしめてくれた。
久しく人のぬくもりを感じていないわっちには温かく感じた。
「……おおきに」
「ふふ、どういたしまして♪」
恥ずかしそうにしながら言うと女性は笑顔で答えた。
それから台風のように病院内で過ごしてから女性が迎えに来てくれた。
隣には男性がおり、くたびれた雰囲気のある感じだった。
「やあ、エリザから話は聞いているよ。 よく生きていてくれたね……本当に良かった」
男性は穏和な表情でわっちを見ていたが途中で目を手で覆う。
手の隙間から涙がこぼれているのが見えた。
「さぁ、いきましょ♪」
エリザと呼ばれた女性に頷いて男性も女性に続いて歩き出す。
わっちもつられて歩き出す。
病院の外に三人でむかうわっちら。
そこから、豪華な城に到着するまでそう時間がかかることはなかった。
部屋に案内されてそこで過ごして夕食も用意されたのを三人と複数のメイドさん達に囲まれて食べる。
落ち着かない気持ちにはなるけど慣れるしかないのだろう。
そんな感じで夜の時間となった。
頭とお尻のあたりに痒みがはしり、混乱していると。
次第に痒みが収まり、ふと視線をあげると鏡があたりにあるので除きこむと、頭には狼の耳がピョコンと生えていた。
汗が流れながら、お尻のあたりに手を伸ばすと狼の尻尾が生えていた。
あわてて部屋から出てエリザ達がいるリビングに向かう。
「あらあら、夜になったから血が騒いだのかしらね?」
「わっちに体の一部を提供した人達って人間やないんか‼?」
わっちがあわてながら問いかけると。
満面の笑顔で頷かれてしまった。
意識を手放しそうになるのを耐えるわっち。
「人狼の血が貴女には流れたのよ」
「だから、人間が食べる食べ物には注意しないといけないね」
二人は苦笑を浮かべていた。