学園都市の体育祭その2
「みなも姉ちゃん!つぐみ姉ちゃん、皆‼」
手を振りながら近寄るのは朝霧裕香といい、裕樹の妹である。
小学生で大人びたところがあるがお気に入りの人と一緒になると甘えん坊になるのだ。
「裕香ちゃん、来てくれたの?」
「一人で、というわけではないみたいれしゅね」
つぐみとみなもは裕香に視線を合わせるようにしながら笑顔を浮かべる。
裕香の足元には小さな蛇が裕香の肩には小さな女の精霊がいた。
「うん! ルクスとヴァイスと来たんだ♪」
ニコニコと笑顔で笑いかける裕香。
『裕香様はわたちがまもりましゅ‼』
ルクスは透明な羽を羽ばたかせながら言う。
ヴァイスはすまし顔でいた。
「よく来てくれたな、歓迎するよ」
「《裕香ちゃんには今日1日楽しんでもらえると嬉しいかな♪》」
龍星と芹香も裕香に近寄ると視線を合わせる。
「ふんぬぅ!」
「せりかっか♪」
りゅ―さんとせりかさんは裕香に近寄るとニコニコ笑顔で話しかける。
『裕香、いらっしゃい♪』
『主達の種目をじっくりと見ているといいのじゃ!』
芹香と龍星の使い魔は裕香に近寄ると頭を擦り付けて鳴いた。
牝の虎が龍星側で狼の雄が芹香側である。
「ありがとう! みんなの種目を見ているね」
裕香はニコニコと笑いながら答えた。
「ひばり、そろそろじゃないか?」
「あ、もうそんな時間なんだ」
和明に言われてひばりは体育祭のスケジュールを開いて確認する。
ひばりは精霊使いだ、それもかなり貴重な。
四大精霊に好かれるなど、そうそうないからだ。
「ひばり姉ちゃん、頑張ってね!」
「うん、ありがとうね。 裕香ちゃん」
裕香が声をかけるとひばりは嬉しそうに笑った。
そしてひばりは風華達を連れてゲートの方に走って行った。
『がはっ‼?』
ひばりの笑顔を見て鼻血をたらす男子と女子の生徒達。
和明はそれに気づいて困った笑いを浮かべていた。
ひばりが可愛いのは彼だって気づいていることだからだ。
『ご主人、早くしないと取られちゃいますよ?』
和明の使い魔が現れると呆れたように見つめる。
和明はばつが悪そうにしながら視線をそらす。
「和明の奴、素直になりゃいいのに」
「そう簡単にはいかないもんさ」
秀久が歩いて来ながら呟くと龍星は苦笑いを浮かべていた。
秀久はふぅんと不思議そうに言う。
「《それは秀くんが言えることかにゃ?》」
秀久の頬を芹香が近寄るとつついた。
かなり楽しそうに思えるのは気のせいだろうか。
秀久は視線を反らしているようだ。
「わぅわぅ!」
「みぃ♪」
しゅうやんとみなちゃんは同意するように頷いていた。
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