深紅の過去
「薄気味悪いわ、あの子」
「なんであんな子を世に出してしまったんだろう」
父と母らしき人物の声が聞こえる。
いつもの二人の会話にわっちは気にする仕草はしいひん。
前にして、強く叩かれたから。
あれは叩いた方も痛みがあったのではと思うくらいだ。
「なんであんな化け物が妹なんだよ? 俺の妹は一人だけだし」
「あんな化け物が姉だなんて考えるだけでおぞましいわ」
わっちの兄と妹らしき人物も嫌悪感を露にしていた。
確かに力は強かったし、頭脳も運動神経も良かった。
ただそれだけでも恐れを生んでしまったようだ。
人間とは難しい生き物、人と違うだけで迫害し、追い出してしまおうとする。
けど、まだこの時のわっちはまだ人間だった。
やけど、あの日を境にわっちは人間ではなくなった。
本当の化け物になったんや。
「ちょっと、こちらに来なさい」
と、呼ばれたわっちは嬉しくて近寄った。
今から思えばあの時の父の表情に気づいたらまだ人間やったろう。
屋敷の地下に案内されて後ろを押されて前に倒れて振り向くと、父に銃を向けられていた。
なんで、と聞くが父はわっちの問いかけには答えず。
そのまま発砲した、それに続けて母と兄と妹からも発砲されて、瀕死になると車で運ばれ、山に放置された。肩や腕や脚を狙い打ちされている為に動けない。
狼がわっちの血に反応して集まる、食べられるかと思っていたら顔を舐められて洞窟へと運ばれた。
そこには一匹の巨大な狼がいて、まっすぐとこちらを見ていた。
「わう」
狼が鳴くと連れてきた狼達は下がって走っていった。
ポカーンとしていると先ほどの狼が目の前に来ていた。
わっちの血を舐めとると顔を舐めてきた。
『人の子よ、そなたはまだ生きたいか?
…………いや、言わずともわかってしまうか。
死にたいのだろうな、だがそなたは頑丈な肉体を持って生まれたそうそう死ぬことはないだろう。
だが、今回は頑丈な細胞を殺す弾丸を撃ち込まれた。
そなたの肉親にな、なんと愚かな事をしたのか。
人間とはわからぬわものだ。
人の子よ、そなたはまだ死ぬべきではない。
お前を待っているぬくもりがある、だから今一度妾と血の契約といこう。
そなたと血の契約をすることで妾はそなたを助けて守る。
恩を返したいのだ、頼む生きるのだ』
狼はそう言いながらわっちに寄り添い、魔力と妖力を渡してきた。
身体が暖かいぬくもりに包まれてから意識をなくして目を覚ますと姿が子狼に変わっていた。
嬉しそうな雄叫びとぬくもりがわっちを落ち着かせる。
それがわっちの過去。
これは異能力と学園都市と緋色の華とフェザーオンライン共通の過去です!