アイルレイムの城で子供談義?
森の奥には、まっしろの綺麗な城がある。
その城は誰もが、見つけることはできないといわれている。
城の主に気に入られてたら、見つけることができるのだ。
「ねえねえ、深紅ちゃんと澪次くん!」
ちょうど大広間での大きなテーブルを囲んで朝食をとっているときだった。
銀色の長い髪を揺らして、赤い瞳を子供のように輝かせながら目の前にいる男女に声をかける。
それはとても楽しそうに見えるくらいの声質と高さ。
「どないしたん、おかん」
「どうされたんですか? エリザさん」
不思議そうに首をかしげて深紅と澪次は声をかけてきた人物を見つめる。
城の主である女性も不思議そうにエリザを見つめているようだ。
「二人はいつ結婚式をあげるの?」
ぶっ!!
と、にこにこ笑顔で言うものだから澪次と深紅は吹き出してしまう。
そして咳き込みながらエリザを見つめ直して口を開いた。
「い、いきなりにゃにを」
「噛んでるよ、深紅」
「ふむ、珍しいな。 ここまで噛む深紅も」
口元を拭いながら言う深紅に澪次は苦笑いしながらツッコミをいれる。
城の主……アイルレイムは深紅の驚きようを見てつぶやいた。
「だって、二人とも良い年でしょ? ここで青春を無駄にするのはよくないと思うのよ! イルちゃんだってそう思うでしょ?」
「そうは思うが、なにゆえ結婚になるのかしら?」
と、笑顔で言うエリザに若干いつものことかという様子で見つめるアイルレイム。
さすがに彼女の扱いにはたけているようだ。
「二人の子供がみたいからよ!」
「なんと、安直な理由だな」
どどーん! というかきわりを背負いつつ叫ぶエリザ。
それを呆れたように見つめて言う彼女だが……。
「だが、子供というと、これは違うのか?」
「やで?」
ひょい、と抱き上げてエリザに見せるアイルレイム。
深紅にそっくりのぷちが不思議そうに首をかしげている。
「違わないけど、この子の次の子供がみたいのよ!」
「おかんにアイルさん、ぷちは子供ちゃうで」
「でも、子供のように扱っちゃうよね」
エリザは笑顔でそう言うと深紅が呆れながらいい、澪次は膝に乗ってきたみっくーを抱き上げている。
ぷちは無邪気ゆえに可愛いし、泣かれると心が痛むものだ。
「そうよね、ぷちちゃんがいると子供ができたみたいな気分になるのよね~♪」
「清涼剤のようなもんでもあるわね、この子は」
口元を汚しているみっくーを見つめて微笑むエリザとアイルレイム。
深紅と澪次もみっくーを子供のように相手をしていたりするのでエリザとアイルレイムと同じ気分にもなったりする。
「まあ、ぷちは可愛いやけど」
「結婚とかは、まだ考えられないよね」
と深紅と澪次は苦笑いしながら言った。
二人は意識などもしていないからもあるだろう。
お互いに大切ではあるが、結婚という二文字を考えたこともない。
が、そんなの二人の行動を見て付き合ってもいないなどと考えた人物はいないだろう。
「あれ、二人とも付き合っているんじゃないの?」
「エリザ、この二人を見てそういった感じの光景を見てはいるが。 本人達は付き合う以前の問題のようだぞ」
首をかしげるエリザにアイルレイムは紅茶をすすりながら告げる。
恋人のような光景を何度も見ているが二人は当たり前の行動でしかないことは理解してはいるのだ。