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第二話 大霊界Talking

「よっ、ほっ、そろそろ、よっ、麻痺入りますよ。尻尾切っちゃってください」

「はーい。…えいっ! あ、切れた切れた」

「剥ぎとったら頭中心に狙ってぼっこぼこにしちゃいましょうか」

「了解でーす」


 おっさんと自称女神さまが何をしているかと言うと、携帯用ゲーム機を使ったハンティングであった。

モンスターをハンティングするゲームである。何故そんなものがここにあるのか。


「貴方が知っているものなら、大体再現できるんですよ。知識経験とその対象を結ぶ因果の糸を辿って、あとは女神さまパワーでこう、ちょちょいと…あ、死んじゃう死んじゃう!」

「回復使うから回避して回避! そう! あぶねぇ! ふ~…さらっと神様アピール来ましたね」

「自慢じゃないですけど女神さまですよ、ちょー有能な、若くて可愛い女神さまです」

「ちょー?」

「ちょー。あれ、降りてきませんよこの子」

「逃げますからおっかけましょう、ペイントしましたからマップで分かりますよ。…まぁ、否定はしませんけどね、有能も、若くて可愛いも」

「ちょー有能なのです。ご遺族のその後もばっちりフォローしましたよ!」

「それは、はい、ありがとうございます」

「どういたしまして」

「もう本当に感謝してます…その辺は、ぼくが生きてた時よりいい方向に向かうんでしょうねぇ」

「そういう訳なので、後腐れなく、私のお願いを聞いちゃって下さいね? あ、獲物発見、ぼこぼこ再開だー」

「ドライだなぁこの女神」

「女神さま、敬称付けて敬称」

「押忍、女神さま! あ、麻痺罠置いたんでこっち誘導してぼこりましょう。それで終わりじゃないですか」

「はいはーい。ほーらこっちですよー」


 手も足も出ない無力な大型動物を二人がかりで滅多打ちにしてゲーム終了。慈悲は無い。

 ゲームって面白いんですねーなどと言いながら、相変わらずの湯呑に日本茶を用意してくれる女神さま。


「まぁ、美味しいからいいですけども」

「あ、お煎餅もありますよ」

「あんのかよ! 頂きますけども!」


 西洋風庭園の中心でツッコミを叫んだおっさん、醤油煎餅を手にとって割ってから口に放り込む。

 一方、女神さまはそのまま口へ。


「小さく割ってからって、女の子みたいな食べ方しますね」

「いいじゃないですかほっといてくださいよ。……そうなんですか? 女神さまは丸齧りしてるじゃないですか」

「私は何をしても可愛いので、そんな小細工はしないのです」

「あー、分かったこれ、この気持ち、ウザ可愛いんだこれ」

「可愛くてごめんね?」

「許しましょう! もうなんか全部! …それで、話の続きですが」

「次はこの武器が作りたいんですよね。どれ狩ればいいんです?」

「ああ、それなら…あ、いや、違うよ? ゲームの話じゃなくてですね? あれ、なんでゲームやってたんでしたっけ?」

「さぁ?」

「まぁいいです、楽しかったのでオッケーです、それでですね、お願いについてなんですけどね?」

「あっ」

「えっ」

「ええ、勿論分かってますよ。ちょっとしたジョーク、女神さまジョークですよ?」

「忘れてたでしょう、ゲームに熱中して忘れてたでしょう今」

「そんなことはありません、それは短慮な誤解というものです」


 おほん、とわざとらしく咳を一つ。すっと姿勢を改めると、その表情も相まって女神と名乗るに相応しい威厳を纏う。しかし、その両手で持っているのは歴代横綱湯呑のままだ。


「さすが横綱、女神の風格にも負けないぜ…」

「お気に入りです。いえ、それはさて置き、貴方にお願いがあります」

「はい。家族への配慮もして頂きましたし、報酬先払いで頂いたからには出来る限りの事はしますよ」

「私の属する世界へ降り立って、預かって欲しいものがあるのです」

「預かる…なにか大切なものですか?」

「大切、というか、放っておく訳にはいかなくなったものと言いますか」

「具体的にはどういうものなんでしょう? 危ないものとか…」

「私の体です」

「…は?」

「正確には、私がまだ、ただの人だった頃の体といいますか、女神さまになるにあたって脱ぎ捨てた現世の器といいますか、とにかく、私の肉体だったものですよ」

「……わたしのにくたいって、なにかこう、あらぬ想像が…はっ!? いやいやいや! 女の子が! おっさんに! 預けるようなものじゃないでしょうそれは! いいんですか!? おっさんですよ!」

「大丈夫です。もう私ではないので、解脱して、私ではなくなったお肉なので、私としては特にどうとも」

「ドライだなぁ…いや! そうではなく! こう云ってはなんですがね、劣情を催したりするかも知れないでしょう!」

「そういう心配はしてませんよ」

「ぼくはぼくが一番信頼できないので心配ですよ!」

「でも、体無いでしょう? ぺちゃんこですし、火葬されてましたし、そもそも別の世界ですし」

「……あっ、そうか。じゃあ、大丈夫…なんですか? あれ? 転生とかするんじゃないんですか?」

「何を言うかと思えば…赤ちゃんになっちゃったら、そもそも何もできないじゃないですか。ばぶーとか言われても困りますよ」

「そう言われてみれば、それもそうです」

「そもそも、転生してきた見知らぬ男を産む母親の気持ちを考えると、それはちょっと…」

「ああ……知らんおっさんが出てくるっていうのは、なかなかホラーですね…」

「何年か成長してから記憶が戻るって方法にしても、それまでのその子を上書きする訳じゃないですか? じゃあ、その子はどうなるんです?」

「同じ魂だ~なんて言っても、別の人格、別の人生になる可能性を塗り潰すって事ですからねぇ…あー、思ってましたよ、そういう話を読むと、もともとのその子はどうなったんだろうって。掘り下げるとそっちも結構ホラーですよね」

「なので、こっちの世界の赤ちゃんに生まれなおすとか、そういうのは無し、不許可です」

「じゃあ、どうするんですか? なんかこう、守護霊的なものになって見守れとかですか? 幽霊だと手も足も出ない気がしますが」

「大丈夫です、ちょー有能な女神さまですから、その辺はちょちょいのちょいですよ」

「いや、あの、具体的には?」

「内緒です、現世に降りてのお楽しみですね!」

「はぁ、まぁ、それで問題無くやれるというなら構いませんけど。家族の件で走ってくれた女神さまですから? 信頼してますから?」

「心配症ですね…とても凄い名案を思い付いたんです、だから安心してください」

「まぁ、分かりました。それで、その、女神さまの体、ご神体ですか? それをいつまで預かれば?」

「元・私と言っても、所詮は人間ですから寿命があります。天寿を全うしてください」

「ああ、それもそうか。いつまでと言っても、そういうものになりますよね。人生そのものに関わってる訳ですし…ああ、でも、ぼくの方が先に寿命がきたりとか…」

「もう、心配しすぎですよ。そういうのも女神さまにお任せです」

「ちょー有能な女神さまに?」

「ちょー有能で可愛い女神さまに」

「まぁ、分かりました。執着は無いけど放っておけないっていうのも、まぁ分かります。その、現世? でやっていくのに問題無いように、女神さまの考えがあるというのもいいでしょう」

「勿論です、きっと安心楽々ですよ」

「それでは……あー、その…なんだ…これで送り出されて、それっきり……みたいな流れなんでしょうか?」

「まさか、そんなに無責任じゃないですよ?」

「というと?」

「夢を通してここで会えます。やっぱり報告、連絡、相談は大切ですよね」

「そうですか! いや、よかった! さすが女神さまです! 最高! 可愛い!」

「ちょー有能?」

「ちょー有能で可愛い! 結婚して下さい!」

「え、無理」

「ちくしょう!分かったよ!さぁ送り出せ!夢に出てやる!」

「その前に、まだもうちょっとお話があります、あるので聞いて? ね?」

「くそぅ…分かりました、ちょっと落ち着きます、深呼吸して……よし、どんとこい」

「私としてはこっちの方が重要なので、頑張って欲しいんですけど」

「なんでしょう?」

「信者が欲しいので、布教してください」

「分かりました、布きょ……布教!?」


この会話はそのままで、ちょっと書き足すと思います

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