引っ越し祝い
「久しぶりじゃん!元気だった!?」
「お前こそ変わらないな。そのテンションは。孝弘はどうだ?」
こいつは内川 深雪。幼馴染。といっても今16歳で10年前だから幼稚園に通っていた時の知り合い。何故ここまで仲がいいというと引っ越した後も交流が結構あったから。
要は親のおかげなのだ。
「アイツも元気~、というかタカも来てるよ。お~い、タカ~!」
「うるさいよ、コンビニでは静かにしなって・・・・・・、大輝?」
「あぁ、そうだ。久しぶりだな、孝弘」
斉藤 孝弘。幼馴染その2。こいつは俺が引っ越したのと同時期に引っ越したのだが5年前、町に帰ってきたそうだ。
「孝弘、そのメガネはなんだ?そんなのかけてるのは初めて見たぞ。おしゃれか?」
「そんなわけねぇだろ。普通の理由だよ。視力が悪いだけ」
「アハッ、にしても久しぶりに3人そろったね~。いつ以来だろうね?」
「半年前だ」
3人で会うことは多々あり、長期の休みになると必ず俺のいた都会に遊びに来ていた。だから、そこまでの新鮮感はない。それでも3人集まるのは少ないのだが。
この2人も同じ学校に通うとのことだ。だからこそその学校を選んだのだが。
あと3人とも同じクラスだということだ。
「じゃあこれでいい?」
「いいんじゃないか?これだけ買えば足りるだろう」
「これ買ったら大輝んちにだな」
「ただいま~」
「おかえり、あら二人とも久しぶりね」
「はい!お久しぶりです!」
「もうみんな来てますかね?」
「そうね、飲み始めちゃってるわ。三人はどうする?大輝の部屋に行く?」
「そうするよ。コップ持っていくから二人は上行っててくれ」
コンビニから帰宅し、俺の家に着いた。
ユキと孝弘の家族はすでに飲み始めていて宴会状態になっていた。
俺もさっさとコップ持って部屋に行こう。
「さて!じゃあパーティーでもしますか!」
ユキが袋の中のものを取り出していった。
たけのこの里 2箱
じゃがりこ 3つ|(定番の3種類)
ポテトチップス 5袋|(全部違う味)
ジュース 3本
クッキー 7箱
その他もろもろ
「これ買いすぎじゃない?たけのこの里がなんで2箱もあるの?きのこの山じゃねぇの?」
「やっぱりそう思ったか、孝弘。突っ込んだら負けだと思うが」
なんか、俺が買った覚えのないものまで入ってた。
「別に全部食べるわけじゃないんだからいいじゃん!余ったら私が持っていくからさ!あっ、大輝が払った分ならお金渡すから!これでOK?」
「いいよ、払わなくたって。そのくらいなら気にする額じゃない」
「ホント!?ラッキー!」
どんだけ食べるつもりなんだよ。お菓子だけでもかなりあるぞ。
「あっ~!ユキちゃ~ん、ひっさしぶり~!」
「由香ちゃ~ん、ひっさしぶり~!」
「「イェーイ!」」
由香が部屋に入ってきて、さっき見たようなコントが繰り広げてた。
同じ性別だからなのか、相性がいいのかなのか、ユキと由香は仲がいい。
仲がいいってどころじゃない。もはや姉妹みたい。
「ちょっとさ、みせたいものがあるから私の部屋来てくれない?」
「全然いいよ~。じゃあ、ちょっと席外すね~。ちゃんとお菓子残しといてね!じゃないとぶん殴るから!」
物騒だな。ユキならやりかねないし本当に痛いから困る。
というか、この量を食べ切れるとでも思ってるのか。
「なぁなぁ、大輝~。このチョコ旨いぞ~」
「ん?どうした、孝弘。そのチョコか?」
「あぁ、そうそう。なんかすげ~旨くてさ、なんか頭がフワ~ッてするんだよ」
なんか様子がおかしい。孝弘はこんなお茶らけた感じではないのだが。
「どうしたんだ、孝弘?なんか変だぞ?」
「俺が変だと~!?何言っとんねん!俺は普通だ!何もおかしくねぇよ!」
「言葉も変だし、顔も赤くなって・・・」
顔が赤い。ほんのりだが確かに赤い。いや、まさか!
さっき俺に進めてたチョコの箱を見てみた。なるほど、予想通り。アルコール入りのチョコだったのか。
孝弘って酒に弱い体質なんだな。
とりあえずさっきから叫ばれてうるさいのでしょうがなく孝弘を殴って眠らせることにした。
ちょうどユキと由香が戻ってきた。
この状況に一瞬戸惑っていたが説明したらなるほどと理解してくれた。
「このチョコ、孝弘には食べさせないように隠してたつもりなんだけどね。見つけられたか」
「孝弘ってこんなに酒に弱かったのか?」
「実は私も最近知ったの。中3の時にアルコールがほんのすこしだけ含まれてるお菓子食べさせたらこんなんになったの。それから数日は学校休んだわ・・・」
「ねぇ、お兄ちゃん。私もジュース飲みたいんだけど」
「はいはい、取ってきてやるよ。ユキとなんか喋ってな」
下の階に行くともう父親組は酔いつぶれていた。そういや、孝弘の父さんは酒には弱いわけじゃないんだな。
「大輝、そろそろ終わりにしなさい。明日、学校なんだから。初日から遅刻するつもり?」
時計を見ると9時を回っていた。
しょうがない。今日は解散か。
「タイキ!明日起こしに行ってやるから覚悟しとけ!あとタカも」
ユキが拳を突き付け堂々宣言。それは漫画やアニメの専売特許だ。
「俺はついでなのね」
「それより孝弘、お前大丈夫か?」
「う~、なんか頭痛ぇんだよなぁ。頭痛もするし、物理的にも殴られた感じがするんだよ。俺が寝てた時になんかあったか?」
「いや、何も」
うん。知らぬが仏だ。
「じゃあ、また明日学校でな」
家に戻って後片づけをする。
久しぶりに楽しかった。
まだ、中学生の時の気分が抜けない。こんなんで大丈夫だろうか。
大丈夫じゃなくともなんとかするけどな。
「お兄ちゃん、これは私からのささやかなプレゼントだ!有難く受け取りな!」
そういって由香が渡したのが青と水色が交互に入り混じったミサンガだった。
「ちなみにユキちゃんが赤とピンク、タカちゃんが緑と黄緑ね!」
そういえばさっき渡してたな。ユキと孝弘に。
「有難く受け取ってやるよ。ところでこれちゃんと切れるのか?ミサンガなんだからよ」
「切れないように頑丈に縛っといたよ!」
「駄目じゃん。ただのブレスレットじゃん」
妹と一コントやったところで風呂に入ってさっさと寝るか。
明日は学校だ
なんか楽しみだな
次回からは学校です!
この回が一回手違いで消えたときはホント絶望した!www