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10年ぶりの町

第3弾。

今回は高校が舞台のストーリーです。


1話のテーマは大輝の引っ越しと再会!

 永い眠りから覚めた────と言ってもただ居眠りしていただけなのだが、それでもずいぶんと寝ていたもんだ。もう目的地に着いたらしい。

「おっはよう!お兄ちゃん!もう少しで新しい我が家に着くよ!長い道のりももうすぐ終点・・・。私は中学2年生というせっかく仲良くなった仲間と別れをして引っ越しなんて。お兄ちゃんはいいよねっ。ちょうど出会いのシーズンに引っ越しなんて!全部リセットだよ!その勢いで人生もリセットしちゃいなよ!」

 元気がいいな。あっちでは「もう別れは終えた。もう悔いは残っていない。あの子たちも元気でやっていくだろう」なんて言ってたのに。悔い残りまくりじゃねぇか。

「あのな、由香。そういうのは忘れちまうもんなんだよ。さっさと忘れちまえよ」

「何でそんな『若い頃に作った俺の最強必殺技ノート』みたいな言い方するの!?ていうか私の友達をそんなのと比べないでくれる!?」

「勝手に比べてるのはそっちだろ。いつそんなこと言った?全く、俺の妹は被害妄想が激しい残念な女だったのか・・・」

「ああ言えばこう言う!じゃあ、お兄ちゃんはみんなのこと忘れたの!?」

「忘れたね。あれぇ?達彦って誰だっけ?」

「そもそも私の知りうるお兄ちゃんの友達の中に達彦なんてひとはいないんですけど!」

「無論。そんな奴は聞いたことがない。頭の中だけのお友達さ」

「ぐわっ!お兄ちゃん痛すぎる!何、頭の中だけのお友達って!そうだよね、お兄ちゃんは友達と言えるほど友達いなかったもんね・・・。教室の片隅で一人寂しく本を読んで、他の友達の輪を見て本気でヘドを吐くような人だもんね。今回の引っ越しだって元はと言えばお兄ちゃんが学校で・・・」

「捏造するな。ただの父さんの転勤だろうが」

 まぁ、そんな理由な訳で深い理由があるわけじゃない。あくまで転勤。そもそも問題なんて起こしてない。多少はやんちゃしてたけど・・・。

「もう少しで着くね。久しぶりだよね、ここも」

「あぁ、そうだな。10年ぶりか」

 10年ぶりだから6歳か。その頃に前の町に引っ越して、10年たってこう戻ってきたわけだ。

 車の窓を空けた。昔から変わらない懐かしい匂いがするな。まさか、まだ覚えているなんてな。


───この町は田舎と言っちゃあ田舎だが、でかいショッピングセンターがあるし、電車もバスも普通に通っている。娯楽もカラオケにゲームセンターなどがあり、なんと市民球場もある。都会と変わらない生活ができる。それどころか都会よりも人が密集していないわけだから都会よりも良い生活ができる。

 俺が通うのはとある私立学校。中等部と高等部があり、俺と妹の由香はそこに通うことになる。が、入学式はもう行われていて、入学式含めて3日遅れで俺たちは入学となる。だから今日は2日目・・・なんと微妙な。


「着いたぁああああああああああああああ!!!ついに着いた!私たちのニューホーム!新しいH☆O☆U☆S☆E!イェーイ!家とかけてるんじゃないかって?ご名答!ヒャッホー!テンション上がるぅ~!」

「さっきからそう叫んで文字稼ぎのつもりか?由香」

「なんというメタい発言!そもそも文字を稼ぐ意味がないじゃん!!」

 たしかにそうだがな。遂に着いた、ここには昔、住んでいたらしい。らしいというのははっきりと覚えてないから。由香は覚えているらしい。よく覚えてるな、5歳のころのこと。

「お兄ちゃんの部屋はここ!私の部屋はここね!ちゃんと話し合った結果なんだからね!文句言わないでね!」

「わかってるよ。てか、どこでもいいよ。部屋なんて」

「どうでもよくないでしょ!自分に合ってなきゃくつろぐこともロクにできないんだから!勉強だって集中できる環境がなきゃ!」

 そういう情報ってどこで仕入れてくるんだろう。テレビか、それとも友達からか。

 先に着いていたベッドの上に寝転がる。う~ん、暇だ。荷物の整理もめんどくさい。よし、お気に入りのマウンテンバイクで近くにあるというコンビニでも行くか。

 1階に下りると母さんがいたので声をかけてから行くことにした。

「コンビニ行ってくるわ~」

「あら、そう。いいけどさっさと帰ってきなさいよ。内川さんちと斉藤さんちが来るんだから。あんたも久しぶりに会うんだから遅れないように戻ってきなさいよ」

「大丈夫だよ。時間には間に合わせるから」


 マウンテンバイクにまたがってコンビニへと向かった。さっき財布を確認したら3000円入っていた。いろいろ買っておくかな、あいつらも来るだろうし。

 カギをちゃんと掛けてコンビニへ入った。お菓子はポテトチップス、たけのこの里・・・、ジュースは炭酸無い方がいいかな・・・。

「あっ、お茶も買っておこうか」

 お茶に手を掛けたら・・・、手がぶつかった。

「ご、ごめんなさい!あの、いいですよ!このお茶・・・」

「いや、こちらこそすみません・・・」

「・・・って、あれ?」

「・・・ん?」


「「あっ!!」」


 ホント偶然ってあるもんだ。10年ぶりの再会だ。忘れてはない、だが、ここまで覚えてるとは思わなかった。


「ユキじゃん!」

「タイキ~!」


運命の再開、ってやつか。まさか、ここで会えるとはな。

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