第四話:クリスマス
恋人になったツトムは、前と変わらず明るく楽しくてちょっとワガママな奴だった。
急に夜中電話をしてきて
「今からドライブ行くぞ。寒いから厚着して来いよ。」
など日常茶飯時だった。ある時は夜景の綺麗な丘に、ある時は横浜に買い物に。
全てが変わったのはツトムの誕生日、つまりクリスマスの日だった。
私はツトムとは会う約束をしてなかったので、前から好きだったコウタと会っていた。
するとまた突然ツトムからの電話。
「お前今どこ?」
「家だけど…。」
「俺は今銀座にいて、ブレスレット探してんだけど、お前に合うサイズがなくてさ。」
「えっ?」
「今日クリスマスじゃん。俺の誕生日でもあるけど。お前ブレスレットいつもしてねーじゃん。今はカルティエ見てたんだけどさ。」
「はっカルティエ?!そんなのいらないよ。だって私お金ないしプレゼントなんて用意してないもん!」
「別にいいよ。よくないけど(笑)今日は何してんの?」
「えっと今日は…ちょっと人と会ってる…。」
「へー。ふーん。あっそう。彼氏の誕生日ってゆーのに、ひどい女だなーお前は!」
「だ、だって前に『クリスマスどうする?』って聞いたら、『わからない』って言ってたじゃん!」
電話を切った後、なんだか胸にもやもやが出てきた。ツトムは私のために走り回ってくれていた。なのに私は何をやっているんだろう…。申し訳ない気持ちでいっぱいになり、その日は一日ブルーだった。
そして、もうコウタとは会わないと決めた。これからはツトムの気持ちに応えようと…。