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第ニ十話:近づく自由

結局、カオリが男やその複雑な環境の家族のために渡していたお金は、あの助手席の彼女へのプレゼントや交際費に使われていた。あの後会って三人で話したらしいけど、彼女は風俗で働くカオリを罵倒し続けたという。信用もプライドもズタボロにされたカオリは、それでもまだ男を嫌いになれずにいた。

ツトムに頼めばお金は返してもらえる。でも、その場合の男の身の安全は保障できない。死ぬことはないと思うけど。あんな辛い思いをしたのにカオリは、男の身を案じ、このまま泣き寝入りすることを選んだ。

カオリはまだ引きずっていたけど、私もそろそろ終わりにしよう、とずっと考えていた。結局、女を風俗で働かせて平気な男に、愛なんて存在しないのだ。なんでそんなことにもっと早く気付かなかったのか。時折見せる優しさに、女は騙されやすいのだ。私も、そしてカオリもそうだった。自分が相手の為に、そして相手を変えられると、変えなきゃいけないと思っていた。本当にバカバカしい。


私とカオリは、カオリが自由になり、そして私もこれから自由を手にするという祝勝会を開くことにした。久しぶりのお酒。どれくらい行ってなかったか覚えてもいないCLUBに繰り出した。そこは光と音楽と人でごった返し、無意識に私を鼓舞させる。こんなことをしていているのがバレたらどうなるか、そんな恐怖を打ち消すように久しぶりのテキーラを口にした。

結局私は酔いつぶれ、カオリに担がれるようにして始発電車の待つ駅に向かった。

こんな日にまで私は律儀にツトムにお金を渡しに行った。もちろん歩けなかったから、タクシーで家まで向かいカオリに渡してきてもらったけど。でも、これで最後なんだ、と思うと安堵感でいっぱいだった。

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