第十七話:高校二年生
思えば私は不運な人間だなぁと思う。今までに体験した一番辛かったこと。それは高校二年生の時の体験だ。あの時、もうこの先これ以上不幸なことはないだろうと前向きに生きることを決めたけど、あの時と今とどっちが不幸だろう。
どちらも、すぐ人を信用する私が悪いのだと、改めて考えると思うけど。
高校二年生、私は毎日を謳歌したくて、たくさんの友達と遊んだ。カラオケに行ったり、化粧を濃くしたり、お酒に興味を持ち出したりしたのもこの頃だ。
そんなある日、友達の誘いで飲み会に参加することになった。飲み会と言ってもまだ子どもでお金もない私達は、もっぱらコンビニなどで安いチューハイなどを買い公園や家で飲むのが主だったけど。その日も例に漏れず外で飲んでいた。
メンバーは、私を誘った女の子一人と、男の子は全員顔見知りで三人いた。全員が会ったことあったので話も弾み、盛り上がった。酔いもまわってきたころ、私がトイレに行こうとすると、男の子の一人がトイレまで案内してくれた。そこは公衆トイレではなく、友達の親がやっているという事務所のような場所だった。私は
「ありがとう、戻ってていいよ。」
と言って用を足し、トイレからでると何故か彼はまだそこにいた。
そして私の腕をひっぱり奥に連れていき、抵抗する私を押さえつけ乱暴しようとした。
と、そこにもう一人の男の子が丁度よくやって来て、私達を見つけた。私が助けを求めると、おもむろにこちらに近寄り、参加した。
それでも私は必死で抵抗し続け、大きい声で叫んだ。すると
「別に抵抗してもいいけど、だったらもう一人の女の子でもいいんだけど。」
と言われた。私の友達はまだ男の子と付き合ったこともなくて、当然ヴァージン。物凄く純情な子で今も片思いをしていてそれを応援している。友達を傷付けるのだけは避けたかった。
だったら、私がちょっと我慢すればそれで済む話だと、抵抗をやめて素直に彼らを受け入れた。事が終わり呆然としていると、ドアから数人の男の子たちが入ってきた。知らない人もいたけど、中には同じ高校の子もいた。彼らはずっと窓から私達を見ていたらしい。ふと気がつくと周りの窓が少しだけ開いていた。
「アイコはどこ?」
と、友達の名前を尋ねると同じ高校の子が、
「帰ったよ。アイツも見てた。ショック受けて帰っちゃったよ。」
とさもなさ気に答えた。
「見てたってどういう事?!」
「俺らが誘ったの。アイツにはお前が好きでああいうことしてるって言ったら、怒って帰った。」
「どうして?!私は、自分が抵抗したら・・・アイコがって・・・だから・・・。」
「はは。そんなのお前を大人しくさせるための嘘に決まってんじゃん。」
何よりも辛かったのは、彼らが周りの人達に、私が誘ったとか言いふらしてまわり、みんながそれを信じ、ヤリマンという陰口をたたかれ、アイコともそれ以来気まずくなってしまったこと。と言っても、私も本当のことは言わなかった。言ったらきっとアイコが、自分を守る為に私が犠牲になったと自分を責めてしまうかもしれないから。言っても今更しょうがないことだし、アイコはきっとずっと私を軽蔑していくんだろうなって思うと辛いけど、しょうがない。ただひとつだけ、あの主犯の男の子が婦女暴行の罪で家裁に行ったと噂で聞いたときは、ザマーミロと心の中で思った。