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第十五話:疑問

ツトムには何百万渡したかわからない。それでも始めは、自分がいけないんだからしょうがない、ツトムを傷つけたのは私だし、そんな私を見捨てずに一緒にいてくれて、コウタ達からも守ってくれたんだから、感謝しなくちゃいけないと思っていた。

それがだんだん、やっとオカシイと思うようになってきた。

私はあれからコウタとも連絡を取っていないし、そもそも本当にコウタにお金が払われたのか、本当にコウタがお金が欲しいと言ったのか、疑うようになった。

その話はもう終わったとしても、今現在ツトムの病気というのは本当なのだろうか。よく聞く難病だし、実際病院の診察カードも持っていた。だけど、私が診察に付いて行ったりしたわけでもなく、薬だって何の薬なのかわからない。何かの病気で病院にかかっていたとしても、そんなにお金がかからないのかもしれない。

そもそも、始めからこの人は私のこと好きじゃなかったんじゃないか・・・。何もかも知ってて近づいたんじゃないのか・・・。仮に好きだったとしたら、彼女に風俗で働かせるなんてできるはずがない、やっとそこに気付いた。

でも、そんなことツトムに聞けなかった。殴られるのがわかっていたから。

ツトムは相変わらず毎日私を縛り付け、追い詰め、動けないようにしていた。私ももう疲れ果て、抵抗する気力もなく、ただ毎日働いていただけ。

「お前最近元気なくない?そんなんじゃ客つかねーよ。腕を磨く努力もしなくちゃ、若いってだけで甘えてんじゃねーの?ちゃんと営業もしてんの?!」

人の気も知らずに勝手なことばっかり。

そういう態度に気付いたのか、口喧嘩が始まり、最後にツトムの言った言葉。

「お前って本当に最低なくそ女だな。生きてる価値あんの?死ねよ。」

私は裸足のまま家を飛び出し、階段で屋上に向かった。何も考えていなかった。だけど、途中で止められていなかったら多分飛び降りてたと思う。

「何考えてんの?死ねば終わるとでも思った?」

何も答えなかったけど、私の頭の中には、バッグに入ってるナイフのことしかなかった。


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