第十ニ話:悪夢
大変だった二十万を返し、また平穏な日々が始まるのかと思ってた。
実際は、そんなに甘くなかった。
「おい。」
ツトムが真剣な顔で呼ぶ。
「あのな、コウタに金払ったんだけど、あいつかなりキレてるみたいで、上の奴に頼んだらしいんだよ。」
「・・・何を?」
「まぁ、簡単に言えば復讐?」
「は??」
「いやだからさ、俺結構ひどいことしちゃったじゃん?だから仕返しっつーかさ。」
「だってお金払ったじゃん。」
「うんでもそれだけじゃ足りないんだって。」
私にはどういう意味なのかさっぱりわからなかった。コウタが復讐だなんて・・・。
「まぁあの二十万はいいとして、あいつも上の奴に頼んじまったからそいつにも金払わなきゃいけねーんだよ。復讐うんぬんは抜きにしてもさ。で、また面倒なやつに頼みやがってさ。俺も顔くらいは知ってるんだけどさ。」
「・・・それで?」
「そいつは俺には手は出せねーんだよ。でもお前は別だろ。」
「だから・・・何?」
「お前があいつに金払え。」
一気に頭の中に色々なことが巡った。
まず、コウタが復讐なんて信じられない。でも本当だとして、私に何かしようとしてたとして、それもまたお金で解決?また働かなくちゃいけないの?なんとかならないの?もうあんなことするのは嫌・・・。
「また二十くらいでいいだろ。こういうのは早い方がいいから、また明日から働け。」
「ちょ・・・ちょっと待ってよ!そんな簡単に言わないでよ。嫌だよもう・・・。」
「そんなこと言ったってしょうがねーだろ!お前がまいた種だよ。」
あんたが勘違いしてあんたが殴ったんじゃん・・・。
「俺はもう関わりたくねーよ。でもお前の身が危険だから言ってんの。とりあえず俺といれば安全だけど、金は払って早く終わらせろよ。」
どうしようもなくて涙が出てくる。
「てゆーか、泣きたいのはこっちだから。」