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未定  作者: おうか
7/7

Episode 7.5 試験観察


とある場所。


外界から切り離された、静かな空間。


窓の外には景色が広がっているはずなのに、どこか現実味が薄い。


まるで、ここだけが“別の層”にあるかのように。


「……開始を確認しました」


リリスは静かに口を開く。


手元の端末に、淡い光が流れる。


映し出されるのは、いくつもの地点。


そして――点滅する反応。


「はい。複数の接触を確認」


淡々とした報告。


「被験体の反応も良好です」


一拍。


「……ええ、“試験”としては上々かと」


その言葉が、静かに空間に落ちる。


試験。


誰に向けられたものかは、語られない。


だが確かに、“意図”が存在している。


「現在、第一段階を進行中」


指先で画面をなぞる。


一つの反応が、強く点滅した。


「……興味深い個体です」


わずかに目を細める。


「自己を削ることで出力を上げるタイプ」


短い沈黙。


まるで、向こうの返答を聞いているように。


「ええ、持続性には難があります」


「ですが――」


ほんの少しだけ、声に熱が混じる。


「条件次第では、大きく伸びる可能性も」


別の反応へと視線を移す。


「こちらも確認済みです」


「……はい、“重複型”」


その言葉だけで、空気がわずかに重くなる。


「安定性は低いですが、出力は高い」


「いずれ歪みが表出するかと」


淡々とした評価。


まるで人ではなく、“データ”を扱うかのように。


「試験の進行に問題はありません」


遠くで、また一つ反応が消える。


リリスはそれを一瞥するだけだった。


「……はい」


静かに頷く。


「選別は順調に進んでいます」


その言葉に、躊躇はない。


命の重さなど、最初から測定対象に含まれていないかのように。


「次段階への移行は?」


わずかな間。


そして。


「……了解しました」


端末の光が変わる。


いくつかの点が、ゆっくりと動き始めた。


「では、“試験”を継続します」


最後に。


リリスはほんの少しだけ、微笑んだ。


「どこまで到達するのか」


「あるいは――」


言葉を切る。


「どこで壊れるのか」


返答はない。


だが、それで十分だった。


「……楽しみですね」


静かに告げる。


その空間には、もう彼女しかいない。


それでも。


“何か”は、確実に見ている。


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