第1話 家を去る、旅立つ③
黒翼の魔女、絶対の悪、大陸を滅ばれる天災、死の霧、先代魔王の娘、引退する冒険者の危ないペット。わたしは色々な称号を得たことがある。
と言われても、今のわたしはただの村娘。人間ではないけど村娘として生きている。人間の子供のように、食べる遊ぶ寝る以外に何もしなく、保護者と一緒に平凡な生活を送っている。
最初は当たり前にしてるが、最近は「このままではいけない」という考えが芽生えて、今は大人みたいな身体になる方法を考えている。
クヴァシルさんは今日家に帰る予定で、わたしもお湯や晩ごはんを用意して、一人で家で待っている。
ついでに、一人風呂に入った。
クヴァシルさんはいつも、「女の子は身体を丁重に洗わないといけんぞ!」と言いつつ、わたしが風呂に入る時に指導するばかりだった。一人風呂って本当にひさしぶりでした。
地獄の黒い炎で晩ごはんの温度を保ちながら待つ。
そして、夜が来る。
「もうー嫌だ嫌だよ!なんてそんな可愛い子にこんな…」
知ってる。これはグデングデンに酔っ払っちゃうクヴァシルさんの声だ。
「クヴァシルさん?」
外で、クヴァシルさんとカルルさんが帰ってくる。カルルさんは大丈夫らしいけど、クヴァシルさんは、えっと、泣いてる?
「二人ともお帰りなさいませ。あの、何がありました?」
「そうですね、クヴァシルさんはなかなか会議の結果を受け入れられなくて…これは長い話です。クヴァシルさんは今対話できませんから、あたしが伝います」
こうして、今夜の食卓には三人がいる。
クヴァシルさんはまだやけ酒を飲んでいて説明する気がない。その代わりに、カルルさんが慎重な口調でわたしに、
「オズちゃん、あのね」
「…?」
「オズちゃんはニュースを聞きませんけど、実はここ数ヶ月の間に、大陸での魔物災害事件がたくさん増えていた…それらの事件に共通していることは、犯人は全部、人間の姿をした魔物でした」
「つまり、わたしの同族ですか?」
「いいえ、教会の調べによりますと、犯人は全部、魔物なりました人間。互いに関連性がありませんなのに、彼らは申し合わせたかのように魔物になって、人間を襲撃してた」
人間を襲撃する、か。魔物にとって当たり前のことなんだけどな。
「それでね、魔物になった人たちの共通点は、教会は徹底的に調べました。そして、彼らは全員、強い復讐欲望を持っていることが確認された。教会は、『これが復讐の悦びに腐蝕された人たちによって引き起こされた連続災害、今から腐蝕された人の人権を剥奪し、魔物と見なす』、という結論と指示を下しました」
「はぁ」
人権ね。確かに人間ならそれを持てる。
「どうして復讐欲望を持ってる人間がいきなり腐蝕されるか、あたしたちは今全力で調べています。しかし…」
語調が真面目になった。
「腐蝕された人は、復讐の欲が強ければ強くほど戦闘力が上がります。絶対に倒されないではないですが、退治するたびに死傷者がたくさん出る」
「死者を蘇らせたいこと?そんなの意味がないです」
「そうじゃありません。腐蝕された人ってね、みんなまるで悪魔のように邪悪な魔力を放っています。会議で邪悪な生き物を退治方法を議論をしたあげくに、その、教会は、その任務をオズちゃんに投げた」
「え?」
「オズちゃんの身体は容器ですから、どんな邪悪な生き物でも簡単に喰らえますし、邪悪な魔力を安定させて身体に収容できます。邪悪な魔物の天敵なので、会議は腐蝕された人を処分する任務をオズちゃんに頼みました。ですので」
慎重に、わたしの目を見つめてくる。
いつものカルルさんではなさそう。見られていると同時に、わたしも思わず緊張してしまいました。
「オズちゃん。明日からあなたが旅に出ないとなりません」
旅。この単語知ってる。
人間の子供が一人前の大人になるために、お家を去って、一人で知らない場所で冒険する。困難を乗り越えて、心を成長させる。
本で読んだことがあるからわかる──旅は、楽しいことである。
でもわたし、魔物としてたとえ旅に出たとしてもただの野生魔物になる。
こんなわたしでも、いける?…
「はっきり言いますと、教会がオズちゃんに委任する任務は人の復讐をやめさせる、または復讐の悦びに腐蝕された人を処分することです。明日朝に出発します。急にこんなこと言って確かにわがままで、迷惑をかけますが…ごめんなさい」
「いいえ、別に」
わたしの意見を確認する気がなさそう。まぁ元々人間はわたしに命令する資格があるからそれはいいんだけど。
そんなことより…
「わたし、一人で遠い場所へ冒険しにいくことです?クヴァシルさんとカルルさんは?」
「あたしたちはもっと大切な任務がありますので、すみません」
「オズちゃん…行く?本当に私のもとから…」
「飼い主の威厳を出してくれます?クヴァシルさん。大丈夫、わたし行きます」
カルルさんは無念だった顔、そしてクヴァシルさんは親ばかのように酔っ払って涙を流してる。二人はわたしのことを大切している。きっと。
でもなんでだろう。
心がワクワクでたまらない。
一人の冒険。物語の主人公のように出発して、冒険に。
それは、いいことではないか!
「オズちゃん?なんか、え?楽しそうですか?」
「子供の強い気持ちは必ず顔つきに表れるねー。知ってるぞ、オズちゃんのことだからこんな大人みたいな派遣任務に憬れて行きたくてしょうがないでしょうね。子供はいつか成長してお家を去ること、私、知ってるもん…」
見抜かれた。流石にわたしの飼い主。
知ってると言ったけどクヴァシルさんは涙が止まらない。かわいそう。
だいたい、もし飼い主が「行っちゃダメ」と言って、教会に反対を表明したらわたしも諦めるしかない。でもクヴァシルさんはそんな話をしたことがない。
つまり、飼い主に許可されました。
クヴァシルさん、本当に優しいな。
「ごめん、言いたいことがいっぱいだが…明日に言うね。今は…一人させて、頼む」
そしてクヴァシルさんは自分の部屋に帰った。
「まったく、オズちゃんともっと話をしなさいよ!保護者なのに」
「大丈夫です、そいつが明日言うと言ったらきっと明日でうざいスピーチをします」
「オズちゃん、クヴァシルさんのこと好き?」
「はい。家族なんだから」
「では覚悟をしなければいけませんね。人間の世界は危ないから、家族と離れて一人で行動すると、おそらく怖いやつをいっぱい見つけちゃいます、その時にはたとえ泣きますでも無駄よ」
「わたしに比べて更に邪悪な存在があります?」
「人間ってね、心の闇や悪意は果てがありません。オズちゃんは一体耐えられますかなーて、あたしたちも心配していました」
「子供扱いはやめてください。わたしが行く、恨みのチェーンをうまく切り開きますから」
「そうですね、オズちゃんはもう数年前のオズちゃんではないから、頑張りましょうね」
聖職者に似合ってる笑顔。
たまに怪しい発言をするクヴァシルさんより、カルルさんはもっと立派な大人。
もちろん、クヴァシルさんのことが好き。
でも、もしカルルさんもわたしの家族だったら良かった。
「オズちゃん?どうかしました?」
「…いいえ」
もうすぐ別れる。わたしはしばらくこの二人と会えなくなるかも。
悲しいけど、仕方ない。
別に、悲しさに阻止されて冒険を諦めるなんて、そんなことあるわけないんだから。
「かルルさん、一緒に晩ごはんを食べます?」
「いいですよ。では頂きます」
「それと、明日の朝ごはんも、三人一緒ね」
「ええ」
これがこの家での最後の晩ごはんかもしれません。
食べよう。
そして、冒険しにいこう。うまく任務を達成しましょう。




