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第0話 完壁な容器③

起きる。食べる。本を読む。寝る。これがわたしの全て。


週に一回、わたしはお父様の実験を手伝う。実験というのは、わたしの身体に注射したり、変な魔力を注入したり、変なシャーレの入れ子になること。

実験が成功すればお父様に褒められる。しかし失敗したらお仕置きがある。だからわたしも全力で取り組んだ。


実験は、長い実験があり、すぐに終わる実験もある。注射して終わることがあるし、培養液の中に一ヶ月くらい漬かる実験もある。

それに、実験以外の時間は全部、わたし一人で部屋にいる。実験があればお父様と会える。

気づいたらわたしは実験の時間を楽しみにしていた。


それからどれくらい経ちましたか。

知らない文字をお父様に尋ねて、わたしは本を読めるようになった。

動物の本、魔物の本。歴史の本。魔法素材についての百科事典。

色々な知識を習うことができ、なかなか楽しかった。歴史の本から色々な国を知った。魔物の本から色々な同族を知った。


魔物には色んな種類がいる。わたしは魔物の肉塊で縫い合わせて生まれた、人工の魔物。

それと、この世界にはまたわたしたちより賢い生物がいる。人間と亜人間、という生き物らしい。

人間と亜人は知能がわたしたちより高い、国でも作れる。この世界で一番賢い存在。

大事なのは、いかなる時でも彼らに警戒を保つこと。


ある日、わたしは部屋の本を読み飽きた。

お父様と「つまらない」と言うと、お父様は、


「そうですね。既に1年経ちましたし、色々な知識を勉強しました。オズはいい子ですから、これから新しい本をあげます」

「あれはどうな本?」

「黒魔術の本、それと礼節についての本。子供は大人を敬わなければいけません。その本を読んで、正しい礼節を学びなさい。それと、黒魔術もしっかり学びなさい。あなたはそのために生まれましたから」

「黒魔術のため?」

「それを学べたら助かります。是非、頑張りなさい」


黒魔術の本は、辞書のように厚かった。

お父様の命令は、全ての黒魔術を学ぶこと、それと黒魔術の知識をなるべく覚えること。

数年とかかるかもしれないが、わたしはコツコツと本に記載された黒魔術を覚えてきた。


生命を汲み取る魔法、使魔を召喚する魔法、幻術を使う魔法。それらを理解して、覚えて、そして使えるようになる。

使えば使うほど、自分自身の魔力がどんどん強くなる。

これが黒い魔力──お父様がこう言ってた。

こうして、わたしは長い時間、黒魔術をたっぷり習いました。

たまに、お父様がスライムとかオルトロスとかの、他の魔物を連れてきます。わたしも彼らと友達になりました。


そして、ある日。


「…これで、最後です…」


わたしは、最も難しい黒魔法を使おうとしました。

死界への門を開ける魔法。

大変でしたが、わたしは門をうまく開けて、死界のカラスを召喚しました。

そして、カラスさんに認めてもらって、カラスさんは翼を貸してもらいました。

死界の最強魔物との憑依──これは、本に記載された最強の禁忌魔術。


「おめでとう、オズ」


背中に翼が生まれたわたしに対し、お父様は、


「うまく霊烏の両翼を駕御しました。これであなたは最強の魔物になりました。よくやった」

「いいえ、これは全部お父様のおかげです。お父様の身体改造優秀なんですから」


わたしはやりました。

生まれたあの日以来、お父様がわたしの身体を黒魔力を収納できるように改造しました。

今のわたしは、魔力を無限に回復できる気がする。

お父様の目的を知らないけど、お役に立てて本当に嬉しい。

もっと、お父様に褒められたい。


「これで十分です。では、明日からはじめよう」

「なにをはじめますか?」

「大きな術式です。私は術式を設け、中央聖国の上空にいん石を降らせます。たくさん人間を殺します」

「どうして…」


中央聖国のことなら知ってる。

あれは人間が建立した、人口が数十万ほどの最大の国。伝説によると、神は人間に権力を与えて、そして人間が中央聖国を建立した。

この世界では中央聖国は神の代行者、つまり絶対の正義。


「たくさん人が死ねば、生きている人は必ず悲しいでしょう。私は負の感情を収集して、その感情を黒魔力に転化します。オズ、あなたの任務はその膨大な魔力を汲み取ることです」


と、わたしの頭をなでなでしました。


「ついにこの日が来ましたね。今日はここまで、先に部屋に休みに行こう。明日、お呼びますから」

「…わかりました」


撫でられて、楽しかった。

お父様はいつも笑って、落ち着いて、誰よりも優しかった。

お父様以外の人を見たことないけど。

お父様がやってることはよくわからないけど、もしお父様のためならわたしは何でもやります。

これはお父様のため。頑張りましょう。

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