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第2話 人間を狩るハンター⑤

少女の名前はアルシア。自分が糞で作った不死生物になったことには少し納得できなさそう。

戦場の廃棄物からぼろぼろな椅子を探し出し、アルシアさんは座ったまま自分のことを叙述した。


ちなみにシュコはカラス形態でアルシアさんの頭のてっぺんで休んでいる。今のアルシアさんの材質はシュコを安心させる効果がありそうだ。


「それは去年の秋に起こったことです。冬が来る前にダークエルフの女性は出来る限り食べ物を採集しなければならないから、私は仲間と一緒に野外に行った。私たちはその時に、その集団に拉致され、商品にされたの」


そういえばクヴァシルさんが言ってた、被害者との対話は「拷問」ではない。被害者の気持ちに注意しないと。


「自身の判断ですが、集団にとって利用価値がない商品はもう、全部虐殺された。私も、集団に遊ばれて、虐待されて、それで死んだ。本当に…ひどい目に遭いました」

「彼たちは人間です?」

「はい、集団のメンバーは全員人間です」

「その『ひどい目』について、言えます?」

「…」


少しびっくりした。

そして、また震え始めた。


「ごめん、なさい…」

「大丈夫です」


いらない獲物を虐殺するって、そんなこの人間には意味があるの?

いいや、そんなことより、

アルシアの怖い顔を見て、こころもなにかに叩かれたような信じられない苦しみを感じた。

落ち着いてるけど、アルシアさんは間違いなく酷いことに遭遇した被害者。


「では集団のことはいいとして。エリシウム、この名前は知ってます?」

「エリシウム?…えっと、はい、私のお姉さんなんですけど」


なるほど。

これで確かめた。


「もしかして、エリシウムもその集団に殺されて…」

「逆です。エリシウムさんは今その集団のメンバーを狩っています」

「そう…ですか。エリシウムらしいですね」

「エリシウムさんは集団のメンバーを探して仇を討つつもりです。おそらく残酷な手法で倍返ししたいのでしょう。これが問題です」

「ということ?…」

「復讐行動と共に、彼女自身も復讐の楽しさにだんだん腐蝕されてるのです。今は軽微ですが、完全に腐蝕されると彼女が人に危害する魔物になります」

「そんな…そんなこと、前代未聞です!」

「本当です。信じてください、わたしは死者でさえ蘇らせるプロなんです」


と言っても、家族が自分のために魔物になるなんて、やっぱ納得しがたい事態ね。

驚愕の態度をして、アルシアは、


「どうして教えてくれるのですか?…既に死んだ私に、こんな…」

「情報の交換は対等です。それに、エリシウムさんをに復讐をやめさせることについて、わたしもアルシアさんと相談したいの」

「エリシウム…」


悲しい顔ね。しかしその身体がどんなに悲しくても泣くことができない。

だからわたしはこんな黒魔術が嫌い。

生物は種による各々の型がある。こんな生き物を化け物にならせる魔法なんて、まるで命を弄ぶ権力を振るってるみたい。


それに、人は化け物や穢物を嫌悪する種。これ自体は人の尊厳を破壊する魔法である。

わたし、人を傷つけたくなかったのに。


「…オズ…オズさんっていい?」

「いいです」

「エリシウムの復讐をやめさせるつもりですよね、私も、行きたいのです」

「はぁ」

「お願いします。私は、怒ってるエリシウムと話をしたい。悲しいエリシウムを慰めたい。心配をかけたエリシウムに、私は大丈夫、と言いたいです!…」


大きな泣き声で叫んでる。涙は出ることができないけどね。

負の感情を捨てることができず、アルシアがわたしに懇願した。


一緒に行くわけないでしょう。

たとえ死んでる死者に生きてる人と面会させても、待ってるのは果て無き悲しさしかない。

それに、糞土や火で合成された不死生物が町に現れたらきっと町を混乱させる。そんなのいけない。


っと、思いますが。


「…わかりました。一緒に行動します」


断る、という選択肢はない。

また家族の絆に敗れた。


アルシアを助けたい、理由がない。そういう気持ちが既に芽生えた以上、わたしにとって選択肢は一つしか残らない。


「ありがとうございます!」

「但し、注意しなければいけないルールがあります」

「守ります、必ず!」

「まだなにも言いませんけど?まず、わたしは今身分を隠し、普通の子供として行動していますので、アルシアさんもそういうことにしてください」

「はい!」

「それと、言いたいことを言ったら、わたしはすぐにアルシアさんを死後の世界に送る。覚悟をしてください」

「…え、はあ…」


何?


「オズさんは…なにもの、です?」

「黒魔法のプロです、誰にも言わないでください」


手をアルシアさんの腹の上に置く。

ダークエルフの肌の色は確かに、朽葉色なのかしら?

わたしは魔力で薄っぺらな色をアルシアさんの肌につけた。


「時間が短いかもしれませんが、これからよろしくお願いします」

「は、はい。そうですね!こちらこそです!私は、特別な存在ではない。ダークエルフとはいえ、私はただの村人です、少し不器用かもしれませんが、よろしくお願いいたします!」

「これで普通に町を歩けるようになりました。あっ、今頭の上に寝ているカラスはシュコ、低能な魔物ですがいい子なんです」

「はい!この子…え?私の頭の上に排泄しているそうですが…」

「…ごめんなさい」

「いいえ、大丈夫、です…」


目が死んだ。やっぱ人だったらこれが気になる。

もっと他人の気持ちに注意しないと。


「エリシウムさんはさっき、全速で北東の都市へ行きました。おそらくそこにいる集団のメンバーを探しにいきました。一緒に北東の都市に行きましょう。その前に、服でも作こう。全裸はダメですよ」

「…うん」


間に合いますように、ね。

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