密命
江戸時代後期の話である。 椋梨内記彦政はさる譜代大名家に仕える末席家老であり。椋梨家の家禄は千石で永代家老家であった。 ある時、彦政は一番家老の屋敷に呼ばれる。用件は彦政の嫡子下記彦道の縁談話であった。相手は80石の下級武士の次女テルと言い彦道より3つ年上の22歳であった。家柄が釣り合わないから体裁を整えるためテルは三番家老の養女として椋梨家に嫁がせると一番家老は言った。また、仲人は自分が務めるとも。そして急ぎ豪華な祝言が行われた。彦道とテルは仲睦まじく暮らしていたが、しばらくして彦道は江戸詰めに選ばれ国元を離れなければならなかった。江戸に参勤し藩主は老中に任命される。また、大老から信任が厚く大獄を主導することになるが、やがて、大老が暗殺され失脚する。やがて明治となり、藩主が一番家老を連れてお忍びで椋梨家にやってくるのだが。