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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第2章 ペンラム国編

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第76話 見過ごしてきた現実


 急な僕の言葉に困惑するインフ。

 僕はもう一度改めて、「彼らに一言謝るべきだ」と告げた。



「な、なにを申しますか主、……サマ」



 背後にいる彼らへの体裁を気にし、言葉尻を留めるインフ。


 もちろん僕だってわかってる。

 今もまだ信じられないけど、彼女は正真正銘、真竜国のトップに君臨する女王様だ。

 それが何を間違ったのか、僕のようなFランクの冒険者くんだりと旅をしている。


 僕自身、この状況がおかしなことくらい理解してる。とある軍事国家が消滅し、それと敵対してきた国のトップが同時に行方を暗ませているのだから、関連している二国の中は、きっとグチャグチャに決まってる。それくらいのこと、政治に疎い僕にもわかる。


 エルフの村でドラゴンとの争いが起こっていると聞いたとき、どこかで嫌な予感はしてた。

 もしかすると、自分たちのせいで村は襲われたんじゃないかって……

 そしてそれが事実だと突きつけられてしまった。要するにそれは、僕らが好き勝手した結果で、関係のない別の誰かに迷惑をかけたことにほかならないんだってことだ。


 ただ……

 インフはきっと、単純に僕に褒めてほしかっただけなんだろう。

 人型に戻り、途端にしょげて下を向いてしまったインフの頭をポンポンと撫でた僕は、「今僕らがすべきことは、彼らを屈服させることじゃないと思うんだ」と提案した。



「……それは、……どのような」


「カーズルインがなくなってから、当事者である僕らは文字どおり姿を消してしまった。彼らも、村の人たちだって、そのせいで今回のような騒動になってる。だけどそれは、裏を返せば僕らのせいでもあると思うんだ」


「いえ、しかしそのようなことは!」



 小さく首を振り、僕はインフに代わり、平伏したドラゴンに詫びた。

 僕のことを知らない彼らの目は終始挙動不審に右往左往しているが、インフの僕に対する態度を見て、ただならぬ状況であることは理解できたらしい。それでも……



「神竜様、……一つ質問をお許しいただけますでしょうか」



 ついに我慢できず、覚悟を決めたようにドラゴンが口を挟んだ。「申せ」というインフの言葉に、彼は僕に鋭い視線を向けて言った。



「先程より、その者は何を仰っているのでしょうか。神竜様に詫びろだの、不躾にも軽口を叩くなど笑止千万。願わくば、私めにこの者を討つ許可を」



「あ?」と聞き返したインフの眼がマグマの10倍紅く光り、噴き出すほどの魔力が彼女を覆う。



「この御方は、わらわにとってこの世で最も大切な御人ぞ。貴様如きが手を出すなど、ふざけたことを二度と申すなよ。……滅すぞ」



 慌てて地面に頭を付けて詫びるドラゴン。

 僕はインフをなだめ、彼にも頭を下げないでと詫びた。



「どこの誰とも知らない僕にこんなこと言われるのはおかしいかもしれないけど、今回のことが、僕らのしたことに原因があるのは確かなんだ。だからまず、僕らがみんなに詫びなきゃいけないんだと思う。本当にごめんなさい」



 僕の言葉に目を丸くするドラゴンたち。

 さらに僕は続ける。



「そのうえで、どんな理由があってエルフの村を襲ったのか、一度ちゃんと知っておく必要があると思うんだ。今、竜の国がどうなっていて、それを取り巻く状況がどう変わってしまったのか、詳しく説明いただけませんか。お願いします」



 顔を見合わせて困惑しているドラゴンたちに「早く答えろ」とインフが付け加えた。「ハイッ!」と背筋を正した一行は、現在自分たちに起こっている変化を聞かせてくれた。


 カーズルインが消滅したことにより、もともとカーズルインを統治していた土地の一部に第三国の者が入り始めていること。またカーズルイン消滅の立役者として名が挙がるインフ本人が不在となり、事実関係の不透明さから様々な噂が流れ、真竜国自体が戦況の流れを掴み(あぐ)ねていること。

 二国で保たれていたパワーバランスが崩れ、周辺国に多大な影響が出ていること。

 さらにはカーズルインが睨みを効かせていた領域内のモンスターが勢力を強め、本来出現しなかった地域に凶悪なモンスターが散らばっていることなど、影響は多岐に渡り、それぞれを取り巻く状況は刻一刻と変化している、らしい。



「上役の目が届かない今がチャンスと、躍起になった一部の権力者が暗躍し始めたのを皮切りに、我ら辺境の民にも影響が出ております。真竜国内でも、従来の統治領域を越えて力を手に入れようと動く者たちも多く、我々も引きずられる形で、自らの体裁を保つため動かざるを得ない状態となり……」


「我が国の者たちも、だと?」



 インフの言葉にドラゴンたちの肩がビクッと跳ねる。完全に萎縮した彼らに代わり、どうにか話を聞き出そうと努力する僕の様子に、インフは少しずつ大人しくなり、またシュンと沈んでしまった。



「そうすると今回の直接的な原因は、皆さんを統治する上位竜が勝手な動きを始めたのがきっかけなんですね?」


「はい、統治領域の拡大を見据え、上位竜に納める物の量が倍となり、我らはそれを確保するため隣国に足を伸ばしております。これまではカーズルインの目もあり足踏み状態が続いておりましたが、先に話したとおり、今は各国それぞれ手が回らぬ状況。もとよりの辺境域などは、力あるものが好き勝手入り乱れ、荒れに荒れた状態となっております」


「なるほど。それで……その、納める物っていうのは?」


「国を統治する上で必要となる物資や食料です。管理者の乏しい今こそが好機と、カーズルイン国内は、今や雑兵がいたるところに張り巡らされている始末。難しい状況と聞き及んでおります」



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