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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第2章 ペンラム国編

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第49話 ペンラム王国


「ちょっとポンさん、いつもみたいに少しは盛り上げてよ!」


「まぁそれはええんやけど。おのれホンマに進む先が決まってて言うてるんやろな? まさか無計画とは言わせへんで」


「え? いや、そんなことは……」


「やっぱりや。おんどれ自分の目標だけさっさと決めて、ほかの計画をな~んも考えてへん。そんなやから盛り上がられへんねん。おんどれ、ホンマはこれから何がしたいんや!?」



 うーんと頭を悩ませる。

 確かに自由転移魔法を覚えたくはあるんだけど……。

 それがどこにあるのか、まずそんなものが存在するのかすら、僕は知らない。



「ってことで、誰かに聞いてみるとこから始めようか」


「ふーん。で、どこ向かうんや?」


「うーん、……どこだろう?」


「どこだろうちゃうし、無計画も大概にせいや。ったく、ホンマに手がかかるやっちゃで」



 背負った小さなリュックから巨大な紙を取り出したポンさんは、ピックアップした一面を小さく折り畳んでジジイみたいにペロペロ指先を舐めながら、額にシワ寄せて覗き込んだ。それから小難しい表情をこちらへ見せつけながら、「ココかココやな!」と自信満々に言った。



「ええと、……どこ?」


「北西のダマスシカ王国か、真北にあるペンラム国や。南のリンデンとシーメルス国は面倒事を回避する意味でやめとくとして、東は神竜国やし目的ないやん? となると必然的にメガリースト領の北に位置する国ってなるやろ。それがこの二つやな」


「あれ、西側は?」


「パパス村はメガリースト領の極東やから、西の国は遠いねんて。せやから別の国に行こ思たら、北がベストやねん」


「ふーん、ならそうしようか」


「いや悩めや……。別に俺はどこでもええんやけど」


「インフもそれでいい?」



 彼女もうんと頷く。



「だったら一番近いペンラム国に行ってみよう。ちなみに二人はペンラムに行ったことがあるの?」



 ポンさんは知らないと首を振ったが、どうやらインフは覚えがあるらしい。



「どんなところなの?」


「ペンラムは何もない面白みのないところですよ。果てしなく続く荒野に砂漠、枯れた乾いた大地が広がる国です。痩せこけたヒト族が住むにはお似合いですね、フフ」



 どうしてそんな言い方するのと注意するも、情報に偽りがあるわけではないみたい。

 ポンさんの地図にも各所にドクロマークが付いており、大半が不毛の荒れ地であることを示している。

 しかし僕が求める情報がどこにあるかは行ってみなければわからない。今の僕が行き先を選り好みするなんて贅沢だし、何よりそんな場所だからこそ、僕をまた一つ強くしてくれる気がする!



「なら次の拠点はペンラムで探そう。ではペンラムへ向けてしゅっぱーつ!」



「おー」という気のない掛け声とともに旅に出た僕らは、それからゆっくりと北上し、ペンラム王国を目指して歩いた。

 国が近付くにつれ、予告に漏れず生ぬるい風と乾いた地面が占拠する土地に代わっていく。さらに進めば、次第に人が住むには厳しいほどの暑さが加わり、自然と進むスピードは落ちた。ただ、それには明確な理由があった。


 大落下を生かし体力を維持できる僕と、そもそも恐ろしく能力が高いインフに問題はない。でもこと一匹、否、一頭の珍獣にとって、この環境はあまりに過酷だったみたいで……。



「あぁちぃぃぃ……、溶ける……、ジヌぅぅぅ……」



 汗一つかかず歩き続けられる僕らに対し、肩に乗っているだけのくせに、ポンさんの口からは泣き言や文句ばかり。毛むくじゃらな全身からダラッダラ汗を流して、ずっと水を飲み続けている。



「もうポンさん、水全部飲まないでよ。それ僕も飲むんだからね」


「黙れ珍獣ども! キサンら怪物と幼気(いたいけ)で可愛らしくてプリチーな俺様を一緒にすな! てかなんでおのれらそんな平然としてられんねん、バケモンか!?」


「と言われても。ねぇ?」



 インフがコクリと頷く。

 何より使いこなせば使いこなすほど大落下のスキルは便利すぎるため、もはや僕から切っても切り離せないものになっている。



「そーれーにーや。ウタ、おのれまさか呪われてるんちゃうやろな、アァン!?」



 昭和ヤンキーのようにメンチを切るポンさん。

 本当にいつも騒がしいウサギだなぁ。



「心外だな。別に呪われてもないし、普通だよ、普通!」


「普通なわけあるか! どーこの普通ヒューマンが、次から次にあんな目に合うねん。普通なわけないやろ!」



 どうやらポンさんは随分とご立腹みたい。

 だけどこんなことは僕にとって日常茶飯事すぎて、あまり問題だとは思わないんだよね。



「砂嵐に巻き込まれてふっ飛ばされたり、動物避けの罠にハマって落っこちたり、モンスターの巣に落っこちたり、スナジゴクに吸い込まれて落っこちたり、スナチドドメドリに捕まって地面に落っこちたり、なんぼほどトラブルに巻き込まれんねん。ワシャ厄年か、380歳にして厄年か!?」


「大袈裟だなぁ。ちゃんと生きてるし良いじゃない。それに、なんでも経験だよ?」


「経験だぉ? じゃねぇし、死ぬし」



 性も根も尽き果てそうなポンさんの肩をモミモミしつつ、付近でもっとも高い丘の上に立った僕らは、そこから延々と広がる砂漠地帯を見下ろした。どうやら知らないうちにペンラム王国領に入っていたらしい。そこには本当に、ただただ広大な砂漠が広がっていた。



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