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人生フリーフォール状態の僕が、ユニークスキル【大落下】で逆に急上昇してしまった件~世のため人のためみんなのために戦ってたら知らぬ間に最強になってました  作者: THE TAKE
第1章 パパス村編

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第25話 クーマー


 見覚えがある。

 あれは田舎のおじいやおばあが、竹藪(たけやぶ)に入って襲われる毛むくじゃらな腕だ。いわゆる……



「クーマー!?」



 ヌッと顔を覗かせたのは、僕の背丈の倍はありそうな巨大なクマのモンスターだった。その眼は確実に僕を餌として認識し、間違いなく僕をターゲットとして狙いを定めていた。


 握った岩の一部が削り取られ、ドゴンと落下する。カステラを抉るように容易く岩を破壊した大グマは、「ホギュアア!」と形容し難い声で僕を威圧した。


 これが蛇に睨まれた蛙か。

 まさか自分が体験するとは思わず、両目、鼻、口、全部開けっ放しで硬直する。

 常に冷静沈着で、どんなことにも対処してみせると意気込んでいたって、クマ相手はどうにもならないって!?


 巨大な太すぎる前腕が、僕を狙って振り下ろされる。僕は偶然足を滑らせて転び、尻餅をついた。直後、クマの大きすぎる熊手が頭上を通過し、かすった頭から血が吹き出した。



「あ、あ、あ、あ」



 光を遮り、立ちふさがる巨大な影。

 匂いそうなほど荒い呼吸を繰り返す毛玉の塊は、僕を餌とするため威圧を繰り返す。

 手足をバタバタさせて後退するが、何もできず、涙を浮かべて「あ、あ」と呟くのが精一杯。しかしクマは容赦なく、追撃の左腕を振り下ろした。



「ヒャー!」



 やっと出た情けない声と同時に、そのまま横っ飛び。地面ごと抉り取る一撃をどうにか躱して転がるも、こんなの相手にどう戦えって言うの!?


 右、左、右と、次々巨大な爪を向けてくるクマの攻撃を間一髪で躱し、僕はひっくり返りながら川へダイブした。しかしクマも怯むことなく、全身を躍動させて滑る水面を走ってくるじゃありませんか!



「はええぇぇ! クマ、はええええ!」



 走って逃げるなんて絶対無理、不可能!

 四足歩行で水面を強く蹴り、水しぶきを跳ね上げ追ってくる。

 僕はどうにか水深が深い場所、深い場所へと全力で泳ぐも、相手は野生の猛獣。その腕力は圧倒的で、みるみる間に距離を詰められる。



「な、な、何か、逃げる手段は!?」



 振り向けば野生の重戦車。

 考えている時間は、ほとんどない。

 だけどこんな命を削るようなやり取りだとしても、僕には経験がなかったわけじゃない!



「普通の18年と、僕の18年は全然意味が違う。僕が、……僕が、どれだけツイてないと思ってるんだ、バカにすんなよ!!」



 この世界は、いわゆるファンタジー。

 スキルや魔法が成立する世界。

 そして僕が持っている唯一のスキル。

 それは『 大落下 』


 このスキルは、絶対強者のインフですら倒した(はず)。だとすれば、こんな小さな()()()()()、やれないはずがない!



「今の僕に落とせるもの、落とせるもの、落とせるもの、落とせるもの、落とせるものってなんだ!?」



 川底を踏み切ったクマが飛び上がり、一気に距離を詰め、上から覆い被さった。僕は思い切り息を吸い込み、川底に両足を付け、顔だけを水面から出し、「うわぁぁぁぁぁ!」と叫んだ。


 全身で押し潰すようにのしかかってくるクマ。このまま川底に僕を沈め、その鋭い爪で腸を突き破り、僕のことを食うつもりに違いない。だけど、



「簡単にやられてたまるかー!」



 グンっと腰と上半身を()()()、僕は仰向けに倒れ込みながらクマの一撃を受け止めた。クマの右爪が腹を突き破らんとしたところで、僕は水中で歯を食いしばり、「ばべばべべ(跳ね返せ)!」と叫んだ。


 スキル名:『大落下』

 スキル発動中は、受けた相対ダメージについて、スキルレベルに準じた倍率で反射する。


 クマの右腕が僕の腹に触れた直後、ドゴンッという破裂音が鳴り、クマの身体が水面へと浮き上がった。川に沈められたまま、「ボボバボバ(どうだゴラァ)!」と叫んだ僕は、川底に頭をぶつけながら、生まれて初めての勝利の咆哮をぶち上げるのだった――



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