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ストーリー 後編

ストーリーの後編です。

「なんでここにお前が?」

「慧に会いに来たよ」


これは偶然じゃない。必然だ。


 


 それからというもの、しばらくの間無視が続いたがそれも次第になくなっていった。毎日めげずに話しかけていたことが功をそうしたのかもしれない。挨拶をしたら挨拶を返してくれるようになったところから始まった。


いっつも無視、だったが新環境ということもあり、みんな手探りのなかの学校生活だったため、流石に世間体を気にしたのだろう。毎日挨拶する女の子を無視している最低な男。というレッテルでも貼られたら困るだろうし。


 実際に、昔から変なうわさ話がたつとそれを絶つような行動をしていた。これはきっと彼の生存本能なのかもしれない。悪いことから逃れていき、良いほうに逃げていくというね。人間だれしもあることだ。私も悪いことから逃れて行く癖があった。その先にあったものは希望に満ちた光なのではなく、黒く染まった絶望だった。


 これは、私が中学2年生の時に体験したからわかることなの。その頃は、勉強の成績が初めに悪くなっていき部活動にも無断欠席がふえて幽霊部員に、そもそも学校にあまり行かなくなったのはもちろん、人間関係も悪くなっていった。家族とも仲が悪化していったため、その頃は正直生きた心地がしなかった。


 これがいわゆる反抗期、というやつなのかもしれないが。逃げて逃げて、逃げた。その先には果てしない闇が広がっていた。


 そんな生活が変わっていったのはやはり慧のおかげだ。他校からのうわさで、慧が生徒会長になったことを知った。その時気が付いた。進む慧と止まったままの私に広がる永遠の差の長さを。


 その日から頑張っている慧に追いつくために必死に食らいついていった。まずは家族との仲を取り戻すことから始めた。今まで行ってきた行動を全て謝った。少し照れ臭かったけど、なけなしの勇気をふり絞って。その時は母の頬から零れ落ちた涙、父のうつむいたままの顔は今でも覚えている。


 それから1カ月位しただろうか。私は勇気をふり絞って学校に行ってみることにした。校舎内に入るまでは良かったのだが、靴を履き替えて階段をあがる足がどんどん重くなっていくことがわかる。軽い吐き気も覚えている。しかし、いざ入ってみるとみんな心配して駆け寄ってくれた。案ずるより産むがやすし、とはまさにこのことを表現しているのだろう。そう心のそこから思った瞬間だった。


 悪いことから逃れていくのがこの世の中の生き方じゃない。悪いことを斬って斬って斬りまくり、見えてきた希望に手を伸ばすことがこの世の中の生き方なのだと。しかし、彼はまだそれを知らない。まぁ、今回に限ってはプラスの方向に進んだから良かったんだけどね。


 少ししたら、彼からも話しかけてくるようになった。恋愛はよく、押して引くのがよい、と言われ続けている。そのためあえて私はそこで少し引いてみた。丁度、仲のいい友達もできてきたところだったし。少しの罪悪感はあったけど、これも全て慧とのストーリの続きを描いていくための一歩として自分の中で割り切った。


 それがよかったのだろう。彼はますます私に興味を引くようになり、遂には昔のように「雪」と私の名前をちゃんと呼んでくれるようになったり、今週末の土曜日には一緒にデートに行く予定もなった。過ぎていく時が遅すぎる。早く土曜日になってほしい、そんなことを思いながら1週間を過ごした。


そして、土曜日。


 私と慧はボウリングに行った。ボウリングは久しぶりで長らくやってきてなかったので心配だった。しかし、なんとかいけちゃった。スコア208を叩き出すことに成功した。最高スコアが267だった私なので、昔の血が騒いだのかも。ちっちゃいころからよく家族と慧と慧の家族と行ってたし。


 しかし、昔のように彼は私のスコアを越してくる。スコア249だそうだ。昔のままの慧でいてくれたことに嬉しさを覚える一方、胸の裏にどんよりとした雲が張り詰めた。


 

 ボウリングが終わるころには、もう夕焼けが綺麗な時間帯になっていた。それから私たちは少し歩いて、いつもの公園に向かう。ちっちゃいころから遊んでいた公園である。公園に着くまでに膨大な坂道を登らないといけないことは難点だが、それを越えるような夕日には何度も心を動かされた。よく、告白の名地としても知られている。


 そして私たちはいつものベンチに腰をかけて二人で夕日を眺める。全てが浄化されていくような感覚だった。これが定めなのだと。


 そんな時、慧がいきなり口を開いた。


「俺、引っ越すんだ。だから、もう一緒には入れない。ごめん」


 私の耳の調子が悪いのか、と少し自分自身を疑ったが、続けられる言葉からして状況を察した。このまま行けば君とのストーリはまた途切れてしまう。今回こそはずっと思っていたことを言うんだ。あの時のように後悔しないように。


 「じゃあ、最後に私のお願いを一つ聞いてね。4年間ずっと好きだった。付き合ってほしい。離れ離れになっちゃうことはわかっているけど、、、」


 そこで急に自分の心のそこからの感情が溢れ出した。慧のせいで闇に染まって、慧のおかげでまた光を求めて歩き出すことができた。慧と二人の続いていくストーリーを求めて。


「俺も本当はずっと4年間雪を思い続けていた。でも、ごめん。4年前のようにまた雪を傷つけたくないんだ。」


 しかし、私と彼のストーリは今、この場所で終わろうとしている。

 真っ赤な太陽をそびえたつ山が飲み込んでいった。

今回は本当にすみませんでした。

これからはちゃんと計画性をもって、期限内に書けるように努めていきますので、これからも本作品を見ていただけると嬉しいです。


今回の小説の感想等を書いていただけると、とても制作活動の励みになります。

ぜひ、よろしくお願いします。


次回は明日、日曜日に投稿します。

     →絶対に出します!!

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