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第69話

極限の緊張感の中、静かに時が過ぎていく。

そして…


「…来ました。モンドールです」

「…あいつか……なるほど」


「おや?これはこれはステラ王女殿下。

 そんなにボロボロになってどうされたのですかな?

 それにそんな子供まで引き連れて冒険者ごっこですかな?くっくっく」


ステラは冷静にモンドールの言葉を聞き流す。

そして力強き目でモンドールを捉えると話し出した。


「モンドール宰相。いえ、モンドール。

 あなたの陰謀もここまでです。

 ここであなたを止め、私は今日、この国の悪夢を終わらせます」


「くっくっく。ステラ王女殿下。

 何を言っているのか、さっぱり意味が分かりませんな」


「とぼけるつもりですか?

 あなたが来てから、この国は変わってしまった。

 父を含め、城のみんながおかしくなった。

 あなたが提案した度重なる増税。そしてあの怪しげな種。

 あなたが持ってきたあの種によって、今、国は混乱を極めている」


「これはまた、おかしなことを仰る。

 あれは水がなくても育つ大変貴重な種。

 この国を想い、わざわざ手に入れたというのに心外ですな。

 ほんとにあなたの妄言にも困ったものだ」


ステラを嘲笑うかのようにモンドールが言い放つ。


「…知らないとでも思ってるのですか?

 あの種からなる実は魔素を吸い、獣たちをおびき寄せる。

 そしてその実を食べた獣たちは魔獣へとなり変わる」


ステラの言葉を聞いたモンドールの表情がわずかに変化する。


「あなたはそれを知っていて、あの種を国中にばらまいた。

 あの種に頼らざるを得ない、苦しみにあえぐ民たちを弄んだ。

 ただでさえ苦しい生活を続ける民たちに、更なる苦しみを与えた。

 私はあなたを許さないっ」


「………。証拠は?証拠はあるのですか?

 証拠もないのにそんな話、話になりませんな」


あくまで白を切るモンドール。


「あーちょっといいか?」

ステラとモンドールのやり取りを聞いていたユイトが割って入る。


「何ですか、あなたは?あなたのような子供に用はありません」

「………。なぁ…お前……悪魔だろ?」


その瞬間、モンドールの顔から笑みが消えた。

モンドールの反応を見る限り、どうやらビンゴのようだ。


「…あ、悪魔!?」

ステラとティナは、ユイトの言葉に驚きを隠せない。


ユイトも確信があったわけじゃない。

モンドールから漂う得体の知れない魔力。

禍々しく、かつ不愉快。およそ人間の物ではない。

その感じが、以前グレンドラから聞いた悪魔の特徴と一致する。

だからユイトは鎌をかけてみた。


「な、何を言ってるのかさっぱり…」

明らかに動揺するモンドール。


「もういいよ、そういうの。

 お前のそれ、瘴気だろ?その瘴気がお前が悪魔だって物語ってんだよ」


「………。くっ、くくく。くはははははははっ!

 これは驚きだ!まさかこんな小僧に見破られるとはな。

 そうだ、私は悪魔デモンドール。

 貴様ら脆弱な人間とは次元が違う崇高なる存在よ。

 ……しかし貴様……瘴気まで知っているとは一体何者だ?」


「さぁて、何者だろうな」

「…小僧、なめた口を……。

 …まぁいい。

 どちらにしろ私の正体を知った以上、貴様らは全員ここで皆殺しだーっ!!」


「…お前が…お前がこの国をーーーっ!!」

怒りに震えるステラがデモンドールに斬りかかる。


ガシッ


渾身の力を込めたステラの一撃。

しかし、その一撃をデモンドールは素手で受け止める。


「なっ…」


「何をそんなに驚いている?

 さっき言っただろう。私は崇高なる存在だと」


「くっ、抜けない」

ステラは掴まれた剣を全力で引き抜こうとするがびくともしない。


「だったら…」


ステラはデモンドールに向け、全力の岩石弾ストーンバレットを放つ。

超至近距離から放たれた岩石弾はデモンドールを直撃。

岩石弾は激しく砕け散り、砂煙が立ち上る。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。

 倒せないまでもダメージは与えたはず……」


徐々に立ち上った砂煙が薄くなっていく。


かすかに残る砂煙。

そしてその向こうに見えたのは、傷一つ負っていないデモンドールの姿だった。


「そ、そんな……」


全力の剣、全力の魔法でも傷一つ付けられない。

ステラはその絶望的な力の差に愕然とした。


「なんだ?まさか今のは攻撃のつもりだったのか?

 …くっ、くくく。ふはははははははははっ!

 いいぞ、絶望に満ちたその顔。

 お前のそんな顔が見たかったのだ。くははははははっ!


 これで分かっただろう。

 これが貴様ら人間と我々悪魔との力の差だ。

 剣だろうが魔法だろうが、全てが無意味。

 貴様らごときでは私を傷つけるどころか、瘴気を破ることさえできんっ!!」


バキッ、バキン


デモンドールが握るステラの剣が砕け散る。


「そんな……剣が……」


「くっくっく。では貴様らに攻撃の見本を見せてやろう」

デモンドールの爪が長く鋭く変化する。


「よく見ていろ、人間どもっ!

 こういったものを攻撃と言うのだーーーっ!!」


ステラ目がけてデモンドールの腕がまっすぐ伸びる。

瘴気を放つデモンドールの禍々しい爪がステラを襲う。


…グサッ

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