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第43話

シノンに地図のお礼を言い、ユイトとティナは素材買取カウンターへと移動。

先ほどまでは混んでいた素材買取カウンターも今はそれほど混んでいない。


順番が回ってくる間にカウンター横に書いてある注意書きを読んでみる。

どうやらクエストで採取・討伐したものは、素材買取カウンターではなく隣のクエスト報告カウンターの方へ持ち込むようだ。

つまり今並んでいる列は、依頼とは関係ないものを買い取ってもらうための列というわけだ。


そうこうしているうちに、ユイトたちの順番が回ってきた。


「素材買取カウンター担当のミーアです。

 本日はどのような素材をお持ち込みですか?」

これまたかわいいお姉さん。


「旅の途中で狩った獣なんだけど、凄い大量にあるんだ。

 買取に数の制限ってあるのか?」

「特にないですよ。ご覧の通り、サザントリムは凄い人なので、

 食料も素材もどれだけあってもいいぐらいなんです」

「良かった。安心したよ。

 で、相談なんだけど、ここじゃちょっと狭いから、

 どっかもっと広い場所ってないかな?」


「えっ…???。

 でもお客さん…そんな大きな荷物を持ってるようには見えないんですが……」

「あぁ、ちょっと魔法の袋みたいなものがあってさ。その中にしまってるんだ」

「魔法の袋…ですか…?」

きょとんとした表情を浮かべるミーア。


「…やっぱ分かんないよな。じゃあ、少しだけ見せるよ」


ユイトはそう言うと、狩った獣の一部を異空間からこっそりと取り出した。


「…えっ!?えっ!?ええーーーーーっ!!?

 ど、ど、ど、どうなってるんですかっ!?それはっ!?」


驚きまくるミーア。

だが、さすがに目の前でそんなものを見せられては、これはもう魔法の袋とやらを信じるしかない。

ユイトとティナはすぐにミーアに案内され、冒険者ギルド奥の素材解体スペースへと移動する。


「へぇ、ここが解体スペースか」


そこでは10人ほどの職人さんたちが、せっせと解体作業に励んでいた。


「そ、それではここの区画に素材を出してもらえますか?」

「分かった。…じゃあミーアさん。

 すまないけど、もうちょっとだけ下がってもらってもいいか?」

「えっ?あっ、はい、分かりました」

ユイトの言葉に従い、数歩下がるミーア。


「さてと、それじゃあ出すからな」


魔獣の森で狩った魔獣を出したら、それはそれで大騒ぎになるだろう。

ということで、今回は弱そうな獣や魔獣のみを出すことにしたユイト。

あまりお金にならなかったら、また後日、別のを買い取ってもらえばいいとの考えだ。


「じゃあまずは狼からと」


どさどさっ。どさどさっ。どさどさっ。どさどさっ。どさどさっ。


「で、次はグレートウルフ」


どさどさっ。どさどさっ。どさどさっ。どさどさっ。どさどさっ。


見る見る獣の山が出来ていく。

その異様な光景に、ミーアは腰を抜かして口をパクパクさせている。

職人たちも皆手を止め、面白い顔をして固まっている。


「じゃあ次は、ワイルドボアとグレートボア。

それとロックリザード、ロックバード、ワイルドベアーっと。次は…」


「…はっ!?ストップ、ストップ、ストーーーップっ!!!」

ミーアの大声が解体場に響き渡る。


「んっ?」

「もうこれ以上は無理です。とてもじゃないですが捌ききれません!

 数に制限はないと言いましたが、これはもう完全に想定外です!」

慌ててユイトを止めるミーア。


「うーん、そっか。まだまだあるんだけど仕方ないな。

 じゃあ、ひとまず今日はこれだけ買い取ってもらえるか?」

「わ、わ、わ、分かりました…」


山のようになった獣を眺めるミーア。


「………。この量だと査定にかなりの時間がかかると思います。

 査定が終わりましたらお呼びしますので、

 ギルドハウスの中でお待ちいただけますか?」

「あぁ、分かった」


「あっ!そういえばまだ名前を伺ってなかったですね。お名前を伺っても?」

「俺はユイト。ユイト・キサラギだ」

「ユイトさんですね。

 それでは査定が終わりましたらお呼びしますので、ゆっくりしててください」

「分かった。じゃあ悪いけどよろしく頼む」


ミーアに査定を任せ、ギルドハウスへと戻ったユイトとティナ。


「なぁ、ティナ。

 ただ待ってんのもつまんないし、ギルドハウスの中ちょっと見てみないか?」

「うん!見てみる!」


早速、ギルドハウス内の探検を始めたユイトとティナ。

大都市のギルドハウスだけあって設備はかなり充実している。

1階には、休憩スペースや食事処も併設されている。

食事処ではどうやら酒も提供されているようだ。

日本でいうところの居酒屋みたいな感じだ。


「…んっ?みんな何見てんだ?」


ユイトが横に目をやると、掲示板らしきところに何やら人だかりができている。

なんだか気になり、掲示板の方へと行ってはみたものの、人が多過ぎて掲示板までたどり着けない。ということで、仕方なく遠目から確認。


「あれは…依頼書か?

 つーことは、これがクエスト掲示板ってやつなのか…」


掲示板はC~Gまでカテゴリ分けされており、それぞれのカテゴリに大量の依頼書らしき紙が貼ってある。

おそらく依頼の難易度によってカテゴライズされているのだろう。

どんな依頼があるのか確認するため、人をかき分け前まで行こうかとも思ったが、まだ冒険者でもないのでひとまずここは我慢する。


次は2階を見てみようと階段へと移動。

しかし階段には”Bランク以上限定”と書いてある。

おそらく依頼書と同様、冒険者にもランクというものがあって、上級ランクしか2階には上がれないということなのだろう。


「そっか…だからさっきの掲示板、Cまでしかなかったのか…」


一通りギルドハウスを見終わったが、まだミーアから査定完了の声がかからない。

食事処でデザートでも食べながらゆっくり待とうかとも思ったが、なんと食事処のメニューにはデザート類が一切書かれていない。


確かにムキムキのむさ苦しい冒険者たちが、小さなデザート片手にテーブルを囲んで楽しんでいる姿は絵的に厳しいものがある。

これはナイス判断だ。


とはいうものの、一旦食べたいと思ったら、どうにもこうにも頭から離れない。

しかし外に買いに行っている間にミーアから声がかかっても何なので、ここはやっぱり例のアレ。2人は秘蔵のアイスクリームを食べることにした。


「んーーー、うまいっ!!」

「んーーー、おいしいっ!!」


久々のアイスクリームにユイトもティナも大満足。


その後アイスクリームを食べ終えた2人は、休憩スペースでまったりタイム。

しばらくして、ようやくミーアから声がかかると、2人は素材買取カウンターへと移動した。


「…た、大変お待たせしました。はぁはぁはぁ…。

 よ、ようやく査定が終わりました…」

息も絶え絶えのミーア。

「今回の買取り額は、金貨10枚と小金貨5枚になります」


(金貨10枚と小金貨5枚。ってことは……1050万円!?まじかっ!?)

想像をはるかに超える金額に腰を抜かしそうになるユイト。


「そ、そ、そんなにもらえるのか!?」

「はい。今回ユイトさんが持ち込まれた素材ですが、

 どれも新鮮で食材として申し分ない品質でした。

 加えて、傷も少なく非常にきれいだったので、毛皮の素材としても使えます。

 その点も考慮すると、今言った金額になるんです」

「な、なるほど…」


傷が少ないのはともかく、新鮮なままなのは異空間収納様様だ。

魔法 of the yearがあれば、きっと選ばれていただろう。


「それではこちらが、今回のお支払いになります。ご確認ください」


思わぬ大金。日本での生活含め、これまで手にしたことのないような大金に少しばかりユイトの手が震える。

ユイトはお金を受け取ると、すぐさま、異空間…もといポケットの中へと収納。

これで盗難対策もばっちりだ。


「それじゃあミーアさん、ありがとな。また持ってくるよ」

「…えっ…は、は…い……」


微妙な返事のミーアをよそに、ユイトとティナはほくほく顔でギルドを後にした。

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