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第212話

その後すぐ、ユイトとティナを知る者たちが、2人の元へと駆けてくる。


「ティナ、ユイト殿」

「おじい様…よくぞご無事で。…良かった…本当に良かった」

涙を浮かべたティナがゼルマ王を抱きしめる。


「またユイトさんたちに助けられてしまいましたね」

「ステラさん、もう大丈夫なのか?」

「はい。いただいた精霊樹の実の果汁のおかげです」

「そっか。良かった」


一時は諦めた世界。

だがその世界はまだここにある。しかも悪魔が存在しない原初の姿となって。


その後、ユイトたちの元へと集まった各国の元首たち。

13人の元首がユイトたちの前に立ち並ぶ。

各国の兵士、冒険者たちもまた、元首たちを倣い整列。

そして彼らは、言葉では表せないほどの感謝を胸に、ユイト、ティナ、ユキに向かい深々と頭を下げた。


そんな中、東の空より、長き因縁に決着をつけたグレンドラが戻ってくる。

そして皆が集まる上空へと辿り着くと、再びユイトの隣に降り立った。


もっとも神に近しき存在の古代竜。

そんなグレンドラを前に、フェルミ―リアや各国元首をはじめ、ユイトたちを除く全ての者がひれ伏した。


その様子を見るやグレンドラがすぐに皆に向け語り出す。


「そうかしこまらずともよい。顔を上げよ、お主たち。

 我ら神獣が神より与えられた役割は、お主たちを守ることだ。

 我はその役割を果たしたまでのこと。気にせずともよい」


そんなグレンドラの言葉に、一同顔を上げる。


「それに我は今、ただユイトの友としてここにいる。

 そうだろう?ユイトよ」


「あぁ、違いない。

 で、どうだったんだ?」


「ふっ。もちろん我の圧勝だ。まだまだ力が有り余っておるぞ」

「ほんとかぁ?」

ニヤニヤしながら話しかけるユイト。


「ぬぅ?なんなら、これからお主と一戦交えても良いぞ?」

「お前、馬鹿言ってんなよ。

 前にも言っただろ?そんなことしたらここら一帯、全て吹き飛ぶぞ?」


「がっはっはっはっは、冗談だ」


冗談を言い合う、ユイトとグレンドラ。

皆、その様子を、信じられないといった表情で眺める。


「本当にユイト殿は古代竜様と…。信じられん……」

「古代竜様にタメ口って…、本当にあの人は何なんだ…」


皆、思うことは同じ。一体、ユイトは何者なんだと。


「しかし感謝するぞ、ユイトよ。

 ようやくあ奴を葬り去ることが出来た」


「いや、感謝するのは俺の方だ。

 お前がいてくれて本当に良かった。

 お前が5000年あそこで惰眠をむさぼっててくれたおかげで、

 大切なものを失わずに済んだ。本当に感謝してる」


「んっ?何のことだ?」

「こっちの話だよ。

 とにかく俺はお前にめちゃくちゃ感謝してるってことだ」

「そうか。何だか良く分からんが、どれだけでも感謝するが良いぞ。

 がっはっはっはっはっは!!」


そんなご機嫌なグレンドラをユイトが見つめる。

(まじで感謝してる。あの絶望から救ってくれたのはお前だよ)


「……で、グレンドラ」

「んっ?どうした?」


「レイドスは…今回の首謀者は、全ての悪魔を召喚したと言った。

 そして俺はその全てを消し去った。

 もう、世界を分かつ壁が崩れても悪魔がやってくることはない」


「…そうか。よもやこんな日が来ようとはな。

 アリアーシェも喜んでいることだろう」


「………。…なぁ、グレンドラ。

 アリアーシェ…さんは、どうやってその強さを手に入れたんだ?

 何か言ってなかったか?」


「んっ?

 詳しくは覚えておらんが、何やら尊敬する2人の師がいると言っていたな。

 今の自分があるのも全てその2人のおかげだと。

 そして、その2人の師に自分の名が届く様に頑張っているとも言っていたな」


「そっか…。

 届いてると思うぞ。その2人の師に」


「して、それがどうしたのだ?」

「いや、何でもない」

「???」


顔を見合わせるユイトとティナ。

そして2人は、笑みを浮かべて頷いた。


「しかしユイトよ。

 今思えば、お主があの日、我の前に現れたのは

 偶然ではなく必然だったのかも知れぬな。

 お主がこの世界を救った。

 神が思い描いた世界が、今、再び始まるのだ」


「そんな大げさなことじゃねぇよ。

 俺は目に映る人たちを助けた。俺の手が届く範囲の人たちを守った。

 ただそれだけだ」


「ふっ。そうか」


そう言うと、グレンドラは静かにユイトに向け腕を伸ばした。

そしてユイトもまた腕を前へと伸ばし、差し出されたその巨大な爪に自らの拳を合わせた。


信頼し合う2人が見せる晴れやかな顔。

その奇跡とも呼べるような光景は、その場にいる全ての者たちの記憶に深く刻み込まれた。

あと少しだけ続きます。

よろしければ、最後までお付き合いください!

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