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第210話

最上位悪魔アークデーモンに向かって、ユイトがゆっくりと歩き出す。


「貴様が相手か?

 人間ごときが私に敵うとでも思ってるのか?」


自らが犯した過ちに気付きもせず、ユイトに話しかける最上位悪魔アークデーモン

そんな最上位悪魔アークデーモンに向け、ユイトが告げる。


「…お前らに1つ教えておいてやる。

 この世界のルールなんてよく知らねぇけどな、

 誰も破っちゃいけない俺のルールがある。

 決して許すことのできない罪があるんだよ…」


「…何を言っている?」


「それはな…」


シュンッ


「何っ!?消えたっ!?どこに行ったっ!?」


その声は最上位悪魔アークデーモンのすぐ背後から聞こえた。


「ティナを傷つけることだぁーーーっ!!!」


最上位悪魔アークデーモンが振り向くのも許さず斬魔が閃く。

その刹那、一体何回斬ったのだろうか。

何十回、何百回、何千回、それは誰にも分からない。

一欠片もその存在を許さないと言わんばかりのユイトの斬撃。

そのユイトの怒りを前に、最上位悪魔アークデーモンは一瞬にしてその存在が消え失せた。


レイドスの目の前で消滅した最上位悪魔アークデーモン


「…ば、馬鹿な……。そんな馬鹿な…。

 奴は最上位悪魔アークデーモンだぞ?最上位悪魔アークデーモンを瞬殺だと?

 あり得んっ!一体あいつは何なんだっ!?」

ユイトの尋常ではない力を前に激しく動揺するレイドス。


「危険だ…奴はこの上なく危険だ。

 ここで確実に奴を葬らねば…」


怒りと焦りに顔を歪めたレイドスが両腕を大きく広げる。

「…くそっ、これ以上は命を削ることになるが止むを得んっ。

 来いっ!!深淵に潜みし全ての悪魔たちよっ!!

 今ここに顕現し我が敵を討ち滅ぼすのだぁーーーっ!!」

召喚サモンっ!!!”


直後、レイドスの声に応え現れた、おびただしい数の悪魔たち。

一瞬にして空気はよどみ、辺り一帯が瘴気に満たされる。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。

 どうだ…、全悪魔を呼び寄せてやったぞ。

 これで貴様らは終わりだ。はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

息を切らしながらも、勝ち誇った笑みを浮かべるレイドス。


「…全悪魔だと?」


「そうだっ!これが私の力だっ!絶望するがいいっ!

 ふははははははははははっ!!」


その瞬間、ユイトの口がわずかに笑う。

「この時を待っていたっ!!

 ティナっ!すぐに精霊たちを下げてくれっ!!」


ユイトの声に即座に反応したティナが、すぐさま精霊たちを引き戻す。

その直後、ユイトが悪魔たちに向けて、究極ともいうべき魔法を発動した。


異空創造ジェネシス


ユイトの前方に現れたのは、世界のルールを無視した超超巨大な球状の空間。

それは、この世界にありながらも紛れもなく異なる世界。

ユイトが発動したそのあまりに規格外な魔法が、全ての悪魔、そしてレイドスを一瞬の内に飲み込んだ。


「…な、なんだ、これはっ!?」

突然の出来事に焦るレイドス。


ドンッドンッドンッドンッ

必死にその空間の境界を叩くレイドス。


「破れん…、何なんだこれはっ!?

 おいっ貴様らっ!何をしているっ!?さっさとこれをぶち破らんかぁっ!」


慌てふためき、もはや一片の余裕すらないレイドス。

そんなレイドスに向け、落ち着き払ったユイトが言い放つ。


「無駄だ。この世界とは異なる空間を創り出した。

 それは世界を隔てる壁だからな。お前らごときじゃ決して破れない」


「…な、何だとっ!?この世界とは異なる空間だとっ!?

 貴様…何を言っている?

 人間にそんなことできるわけがないだろう!?吹かしおってからに!!」


「ま、何とでも言えよ。事実だからな」


「騙されん…私は騙されんぞーーっ!

 くそっ、こんなものーーーっ!!」

なおも、その世界を隔てる壁を叩き続けるレイドス。


「………。

 なぁ、お前…まさか自分だけが特別って勘違いしてんじゃないだろうな?」


ユイトのその言葉に大きく目を見開くレイドス。

「…ま、まさか…貴様も……」


「俺にはな、この世界のルールは当てはまらないんだよ」


「…馬鹿な……そんな…馬鹿なっ。

 そんなでたらめな称号など、あってたまるかっ!!」

にわかには信じ難いユイトの言葉。

だが、目にしたユイトの異常ともいえる力が、それが事実であるとレイドスに訴えかける。


「……なぜだっ!?

 なぜ貴様は、これほどの力を持ちながら、自らのためにその力を使わんっ!?」


「使ってんだよ」


「…何?」


「今この瞬間も自分のために使ってんだよ。

 俺とティナの願いを叶えるためにな。

 …まぁ、お前には永遠に分かんないだろうけどな」


「…何なのだっ!?貴様は一体何なのだっ!?」


「さぁな。

 そろそろ終焉の時間だ。

 お前とおしゃべりする趣味も無いんでな」


「ま、待てっ!!」


「じゃあな」

レイドスの声はユイトには届かない。

そしてユイトが全てに終わりを告げる。


終焉ディマイズ


直後、悪魔たちを包む超超巨大な空間が急激に収縮し始める。

猛烈な速さで小さくなっていく空間。

その内部は、瞬く間に超高圧、超高温の地獄へと変化。

空間内部の悪魔たちは次々と潰れ、または発火し消滅していく。


世界連合軍の兵士、そして各国元首たちは、言葉を発することなく、ただただその光景を眺める。


「こ、こんなはずでは…。

 私は世界を統べる王となるべき存在だっ!

 こんなところでは終われんのだぁっ!!

 くそ、くそ、くそぉーーーーーーーーーーっ!!」


そして…


プスン


レイドスの叫び声だけを残し、ユイトが創り出した異空間は完全に消滅した。

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