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第156話

次の日の朝。


コンコンコン

誰かがユイトたちの部屋の扉をノックする。


「んっ?誰だろ?」


扉を開けるとそこには宿の従業員が立っていた。


「朝早くにすみません。王城から使いの方がお見えです」

「王城から…?なんで俺たちがここにいること知ってんだ?

 …まぁ、とりあえず分かった。準備したらすぐいくよ」


すぐに出かける準備を済ませ、宿の入り口へと向かうユイトとティナ。

そして宿の外に出てみると、そこには立派な馬車が待っていた。


「ユイト様とティナ様でいらっしゃいますね?」

宿から出てきた2人に声をかける王城からの使者。


「あぁ、そうだけど」

「私はクレアと申します。

 イーファ女王陛下の命により、お迎えに上がりました。

 我々とともに王城までお越しいただけますでしょうか?」

「イーファさんが?」

顔を見合わせるユイトとティナ。


「分かった。付いてくよ」

「感謝いたします。それでは、こちらにどうぞ」


クレアに促され、すぐに馬車に乗り込むユイトとティナ。

ユキはさすがに馬車に乗れないので、馬車と並走していくことに。

その後、馬車に揺られること数十分。

前方にブレサリーツ王城が見えてきた。


ブレサリーツ王城 城門前。

今日も元気に城門を守る兵士たち。

そんな彼らの前に1台の豪華な馬車が止まった。

王家の紋章の入った馬車を前に、一気に緊張が走る兵士たち。


「一体どなたが乗っておられるんだ?」


兵士たちは敬礼をしつつ、客人が馬車から降りてくるのを静かに待つ。

するとそんな彼らの前に降りてきたのは2人の冒険者。


「…えっ?」

(何で冒険者が、王家の馬車から降りてくるんだ?)


思いもよらぬ客人に驚きの表情を浮かべる兵士たち。

どうやら彼らは1年前の戦争に参加していなかったのか、ユイトたちのことを知らないようだ。

そしてすぐに、そんな彼らの背後から2人の女性がやってきた。


「…へ、陛下っ!!?」


さらに驚く兵士たち。

まさかまさかのブレサリーツ王国女王イーファの登場。

女王陛下自らが城門まで足を運び、ましてや冒険者を迎えるなど異例中の異例。

城門を守る兵士たちにざわつきが起こる。


「ティナ様。ユイト様。ブレサリーツにようこそお越しくださいました。

 お2人にお会いできる日を心待ちにしておりました」

そう言ってイーファは2人に頭を下げる。


「ティナ様。ユイト様。ご無沙汰しております」

ラナもイーファに続き頭を下げる。


「イーファ様。ラナさん。お久しぶりです」

「イーファさんもラナさんも元気そうだな」


「ふふ。ティナ様もユイト様もお元気そうで安心しました。

 それよりも突然お呼び立てしてしまい、申し訳ございません。

 お2人に少しでも早くお会いしたくて」


「大丈夫だよ。俺たちもイーファさんに会いたいって思ってたからさ」

「そうですよ、イーファ様。お気になさらないでください」


「そう言っていただけると助かります。

 それではご案内します。こちらへどうぞ。ユキさんもご一緒で大丈夫ですよ」

イーファとラナに案内され、王城内へと向かうユイトたち。


兵士たちは皆、呆気にとられた表情でその後ろ姿を眺める。


「…なぁ、イーファ陛下があの冒険者たちのこと”様”付けで呼んでたよな…」

「あぁ…」

「それにあの冒険者、イーファ陛下のことを”さん”付けで呼んでたよな…」

「あぁ…」

「…一体何者なんだ?あの冒険者……」

ざわつく兵士たち。


「気になりますか?」

そんな兵士たちに、クレアが声をかける。


「クレア様!クレア様は、あの冒険者が誰なのかご存知なのですか?」

「えぇ、もちろん知っていますよ。イーファ陛下から直接お聞きしましたから」

「一体誰なんですか?教えてください!」


詰め寄る兵士たちの言葉に軽く頷くと、クレアが話し始めた。


「先ほどいらっしゃったお2人は、

 1年前、イーファ陛下のお命をお救いになられた方たちです」

「…あの冒険者が?」


「ふふ。”冒険者”ですか。確かにお2人は冒険者です。

 ですが、ティナ様は冒険者であると同時に、

 クレスティニア王国の王女殿下でもあらせられるのですよ」

「ク、クレスティニアの王女殿下!?

 …ま、まさかあの”クレスティニアの奇跡”のですか!?」

騒然とする兵士たち。


「そうです。

 そしてユイト様はメイリール王国とクレスティニア王国を救った英雄。

 さらには、神にも等しき存在である古代竜様のご友人にあらせられます」

「……えっ?」


「ちなみにティナ様とユイト様の傍らにいたユキさんは聖獣フェンリルです」

「……はっ?」


その後しばらくざわつきが続く城門前であった。

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