奈々子と健介 vol.091. 綺麗なトーン。
綺麗なトーンの言葉が健介のスマホに届き、
健介の耳を満たしていた。
思わず健介が、目を閉じ、そして天井を見ながら…、少し照れたように、
「ありがとう、片倉さん、俺のワイシャツ、クリーニングに出してくれてたんだ。」
「うん。…だって、元々が、私が、あなたの手を引っ張って、雨に濡らしたのが原因だもの。」
「うれっしいなぁ~、それで電話を…???ありがとう、セーンクス。」
「…で、松下…さんのワイシャツ…渡したいんだけど…、どうする…???」
「どうする…って、そりゃ…、あなた…片倉さんと…会えるかな…???その時に…。」
「うん、分かった、じゃ…。ちょっと待って。」
もう既に、書店の奈々子ではなくなっていた。
その証拠に、もう…これからの自分のスケジュールを見ながら、
健介と逢う日を指で探っていた。
「じゃあ、今度の水曜日なら、私…大丈夫だけど、松下さんは…???」
「俺…???来週の水曜日ね。OK、逆に予定入れたよ、大丈夫だ。」
「じゃあ…、その日に、電話…入れるね…、大丈夫ね…???」
「うん、大丈夫だ、ありがとう、片倉さんと逢えるの、楽しみに待ってるよ。」
「うん、ありがとう。じゃ、お休み。」
その後、電話は切れ奈々子が携帯を持ちながら…、
膝を抱え、そして天井を向いて一度目を閉じた。
そして…一言。
「…これで…いいんだ。その方が…。」




