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奈々子と健介 vol.007. いつも通りに…。
「…あっ…そうか…。そう言えば、佳奈子さんのバースディ…、確か今頃だったよな…。けど…。」
と、去年のパーティを思い出して健介がボソっと呟く。
「えっ…、何か言った???」
と、ロサリン。
「夕方には紗友、メーカーから戻ってくるから、仕事終わったら、いつもと同じように、2人でいらっしゃい。」
何とも…余り気乗りしない健介が…、
「ハハ…分かりました、ハイ~!」
そう言いながらも…、
「紗友の奴…、俺に言わなかったな~ったく~!」
奈々子が着替えを済ませ、
「お疲れ様でした~お先しま~す。」
「ハ~イお疲れ~気を付けてな。」
店長の刈谷純次がカストロ髭の口をにっこりさせて奈々子を送る。
駅前のスーパーで買い物を済ませ、
いつも通りに駅の改札を通り、6番ホームから電車に乗り、
30分後、電車から降りる。
その時点から、奈々子の気持ちは切り替わる。
歩き方から今までの奈々子の雰囲気とは別人に変わるのである。