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奈々子と健介 vol.005. 健介の彼女。
そんな…奈々子ではあるのだが…。
都内のある建物、その企画室。
「あ~来た来た健介。例の奴、変更OKだって、さっきメーカーから連絡あったのよ。何とか間に合うみたいね。」
と、紗友莉。健介の彼女である。
「おっ、サ~ンキュ~やるじゃん、宮さん。」
宮さんとはメーカーの担当者である。
「今更変更なんて、勘弁してくれっつぅの、納期3日後だぜ。ラインもう…入ってんだから~さ!」
「でも、何とかこれで無事納品できそう~ね!」
「…ま~た俺の真似する…紗友~!」
「へっへ~では行ってきま~す。」
「おぅ、お~疲れ!」
紗友莉はこれからメーカーへ生地の打ち合わせである。
松下健介、そして鮎川紗友莉は共に都内某服飾大学時代の同期である。
そして大学時代に知り合い、
ファッションに対するお互いの考え方がマッチングして以来、
彼氏、彼女の間柄となり、大学時代からそのまま恋人同様になっている。
更に、そんな2人のファッションに対するセンスを買い、
大学在籍中に都内のアパレル会社の社長から見初められ、
卒業後には即、その会社に入社。10年経っている。