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奈々子と健介 vol.005. 可愛い妹分。
「な~にやってんだかね、奈々子の奴…。」
と、奈津子が可愛い妹分を微笑ましく笑うように、
そう呟いてまた仕事に戻る。
奈々子と字が一つだけ名前が違うだけとあり、
奈々子がこの書店に店員として入ってきたときから、
奈々子には物凄い面倒見が良く、
奈々子を自分の妹みたいに可愛がっていた。
「彼と頭…ぶつけちゃったのね奈々ちゃん。…ある意味…そそっかしいところ…あるからね…奈々ちゃんも…。」
と、康子。
「でも…何でだろうね…、」
と、奈津子。
「そそっかしいところがある割には…、その逆にしっかりしているところも…あるんだわ。不思議な子だよあの子は…。」
確かに不思議なところがある奈々子なのだった。
いつもは書店で、余りにも冴えないような身だしなみで働く彼女なのだが…。
顔は小顔、それに、そんな顔を隠すくらいの黒縁のメガネ。
しかも奈々子自身、かなりの近眼である。殆ど化粧なし。
…一応…書店では、化粧なし。正にすっぴんそのものである。
しかもヘアスタイルは少し…ぼさぼさの両側フィッシュボーン…。