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奈々子と健介 vol.031. 健介の手を…。
雨に濡れながらも奈々子に右手を握られ、
しかも引っ張られる健介、どこに行くのかも分からずに…。
数秒通りを走ったかと思うと、次の瞬間、交差点に差し掛かり、
そこから右に曲がって横断歩道を渡り…。
その頃には、すっかりとずぶ濡れになったふたりであったが、
奈々子の足取りは変ることなく、
「すみません、もう少しですから。」
と、言いながら、向かいの通りから左に曲がり、
更に数秒駆けた後に辿り着いた店に一気に入ったのだった。
店に入った途端に奈々子は一息。健介の手を取ったままで…、
ある意味では健介に有無を言わせないような状況のままで、
奈々子は健介の腕を引っ張り、男子の衣料のコーナーへと。
奈々子が入った店は近くにあった衣料品店。
「ちょっと、ちょっと君。」
奈々子を見ながら健介は、何をどうすれば良いのか分からずに、
てきぱきと動く奈々子に目を追いながら…。
時折健介の体をチラチラと見ながら、棚に目を遣り、
人差し指を動かしながらも…、
「これ!」
すぐに棚から商品を取り出して健介の体に…。




