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奈々子と健介 vol.002. 落ちた小銭。
「ふん…、じゃ、はいこれ。」
と、2,000円を奈々子の前に差し出し、
380円のお釣りを健介の掌に返そうとした時に…。
レジの中に入り込んできた男子店員の田沢茂樹が、
「ちょい、ゴメン!」
と、奈々子の背中スレスレに入り込む。
メタボな田沢のために奈々子が思わず驚き、
体を前に反ったようになり、健介に返そうとした小銭がレジの机に落ち、
転がって床にまで数個が落ちてしまった。
「あ~ごめんなさい。すみません。」
そう言いながらレジから飛び出し、小銭を拾おうと腰を落とす奈々子。
「あちゃ~やっちゃったか…。」
そう言いながらも健介も落ちた小銭を拾おうとして腰を落とし、
奈々子と健介の体がアチラコチラに向く。
レジの机の下に手を伸ばして50円を拾い腰を上げようとした瞬間、
コチラも健介の足元の傍に落ちている10円を拾って立ち上がろうとする瞬間、
健介が振り向き様に奈々子の頭と健介の頭がぶつかり、
「痛って―――!」
「痛ッ!」