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閑話 逃亡のお姫様*

「はぁ、はぁ、はぁ」

「何処に行った?」

「いや、こっちには誰もーー」


 街の大通りから少し入った路地裏。

 私はそこで息を絶え絶えに、追ってきたフルプレートの騎士達から逃れていた。


「逃げれた…?」


 私は路地裏から大通りにヒョコッと顔を出す。


 まだ時刻は早朝、大通りでも人通りが少なく、隠れるのは至難の業。


 だけど私にはこれがある。


 それはーー



 フォォン



 水の中級神から賜ったスキル『幻覚ミラージュ』だ。このスキルの効果は、私の容姿を変える事が出来るスキル。


 だから私はこれで、自分の容姿を変えて、やり過ごすんだ。

 まぁ、相手に触られたら解けちゃうけど。



 よし、これで完璧…っと。


 私は、元の銀髪を金髪に、吊り目から垂れ目に、肌は少し荒れさせて、私は近くに落ちていたローブを羽織った。


 こうすれば簡単にバレる事はない筈。


「よし、探索するよ…!」


 1人で恥ずかしげもなく、拳を掲げる。

 何故、私が恥ずかしげもなく拳を掲げれるのか…それは!



 街中に出るのなんて初めてだから!!



 昔から外に出るのを禁じられている私は、今日やっと、執事、メイド、護衛騎士の目を掻い潜って街中まで来る事が出来た。


 いつもは勉強、礼儀作法等で遊ぶ暇もない毎日を過ごしている私だが、今日は何やっても怒られない…! 何をやっても咎める者が居ない…!!


 つまり、自由なのだ!!!


 自由なのだから何をしても良い! という訳でもないけど、パパとママに迷惑をかけないぐらいには、何かしないと後悔する! 出て来たからには、何か初めての経験をしたい!


 そう思った私は、徐ろにポケットに触れる。


 取り敢えずお小遣いの100万ゴールドは持って来たし、何か買うとなったらこれを使えば良いのよね?


 私は買い物の仕方もちゃんと覚えて来ていた。お釣りを貰う事やチップを渡す事を忘れてはいけない。


 それで何か屋台で買い物とかしたかった…けど…


 私は視線を大通りに移す。

 大通りでは、やっと今屋台の準備や開店の準備が始まった所だ。


「これじゃあ…お買い物が出来ない…」


 肩を落とし、大きく溜息を吐く。


 折角出て来たのに、何も出来ないとは…このままお店が始まるまで待っていると、パパ達に迷惑を掛けかねない。


 パパとママに迷惑を掛けないには、朝食の7時までには帰らないといけないから、時計塔の6時に鳴る鐘の音ぐらいには、もう帰らないといけない。


「何か…やってる所は…」


 私は路地裏から顔を出し、キョロキョロと辺りを見回す。


 ん?


 そしてある所で目が止まる。


 小汚い、私が今着ているローブの様な物を頭から被り、地面に座っている少年が、そこに居た。


 手には小さな古びたギター、その隣にはシルクハット。


 彼は何をしているんだろうと見つめているとーー



「ー♪」



 ギターを弾き始めた。


 深みがあって、あの古びたギターからは出ないであろう味がある音色が聞こえてくる。


 しかしーー


「うわ…下手くそ…」


 私の勉強にはヴァイオリンと言った弦楽器も入っている。私のヴァイオリンの腕はそれなりにあるつもりだ。

 それから導かれる答えは…この子のは音楽とは言えない、ただ音を鳴らして遊んでいると等しいと思った。


 恐らくあの子は孤児、教えてくれる人も居なかったのでしょうね。しょうがない! 私が少し音楽と言う物を教えてあげますか…


 私が少し溜息を吐いて、その子に近づくと同時にまた音が聞こえて来る。



「…〜…〜♪」



 体を徐々に潤していく様な優しい音が。



「ふぅ、こんな感じかな?」

「…」


 私はその音を聴いた時、思わず言葉を失った。今まで教えてあげようと思ってたのに、それをとんでもない音で私の口を閉じさせた。


 そんな私が、ずっと少年を見ていると、また先程の音が聞こえて来る…ただの遊んでいる音じゃない…洗練された、魔法の様な音が。



「〜…〜…♪」



「…良い」



 少年が演奏を続ける中、か細いながら思わず言葉が出てしまう。


 そして、そう言った瞬間曲調が変わる。



「〜〜♪ 〜♪」



 心がじんわりと温かくなる様な音色。



「…うん。凄い」



 本当に凄い…ここまで音楽で表現出来る物なの? 私の先生だってこんな音…


 そう思って私が訝しげに少年を見ていると、少年もこっちを見つめ返して来た。


 な、何よ…


 そう思っているとーー


 少しのイタズラ心からなのか、曲調を優しい曲調から厳しめの曲調に変えられる。



「ふぁっ…!」

「ふふっ…」



 私は少し大きな声を出してしまい、急いで口を覆う。スキル『幻覚』でも、声を変える事は出来ない。


 そしてその演奏から、少し不安になり、辺りを見回す。


 ふ、ふぅ…誰も居ない…けど! 今笑ったわよね!? 許さない!! 許さないんだから!!


 私が怒りをあらわにしようとした瞬間。



 ガラ〜ン ガラ〜ン



 大きく鐘の音が王都中に鳴り響いた。


「あ……」


 も、もう6時? 朝食の時間が…でも、この人の演奏も聴きたいし…


「…ありがとうございました!」


 そんな事を思っていると、突然少年が大きな声で感謝し、頭を下げる。



 ハッ! そうよ! 私も少年に感謝の気持ちを…賞賛の拍手を!



 パチパチパチパチパチパチッ



 私はこれでもかと拍手をする。


 確か…こう言う時はお礼を言うのだったわよね?


「あ、ありがとうございます。た、楽しかったです」


 そして、私も少し礼をして気持ちを伝える。


「こちらこそ! 一緒に楽しい時間を過ごせましたよ!」


 少年は大きく手を広げ、楽しそうに笑った。


 あぁ…本当に…まだ聴いていたかった…!!


「あの、また聞きに来ますね!」


 チャリン


 私は少年にチップとして一枚、硬貨を投げて家へと急いだ。


「ありがとうございます!!」


 背後からお礼の言葉が聞こえたけど、ある事に気付いた私は今、それどころじゃなかった。



「今日は朝食前に曾お婆様からのお話がありましたわ!!?」



 彼女の名は"アリーシャ・ドイ・ルーフェン"。


 この国の少しお茶目な第1王女であった。

20時にもう1話更新します!!


次回

ジョコ、最高の場所を見つけます!


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