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26話「召集」

「本部に召集!?今このタイミングで!?」

ガーディアンズインド・東南アジア方面軍司令官カーリー・マハーデーヴィー大将は突然の本部からの召集に驚きを隠すことが出来なかった。同じく動揺を隠しきれていない副官が報告を続ける。

「はい、どうやら全世界方面軍に向けて同様の指令がなされたようです、『各方面軍司令官は直ちに本部へと赴くべし』と」

「参ったわね、対シヴァ戦線が落ち着いてきてるとは言え、こっちは海賊の対処やら各国軍への指導で暇な訳じゃないんだけど」

「では無視しますか」

「馬鹿を言わないで頂戴。アーサー!わかっているわね?」

「出航準備ですか」

インド・東南アジア方面軍参謀長のアーサー・トレイン少将が答える。

「ええ、動かすのはチャクリ・ナルエベトだけで構わないわ」 

その言葉に副官・ホアン・リー中佐とトレイン少将が顔をしかめる。いくら襲撃される可能性があまり高くない道を行くとは言え、旗艦単艦での航海はいざとなった時に洒落にならない結果を生みかねない。

「閣下、それはあまりに危険すぎませんか?ここから本部までの間に大きなレストニア教国は無いとは言え、襲撃される可能性が無いわけでは有りません」

「では随伴は3隻のみ、中華方面軍との担当区域境界までで良いわ」

その言葉にリー中佐とトレイン少将は顔を見合わせる、そんな二人を見てマハヴィットヤ大将はため息をついた。

「どうせ世界中から艦隊が集まってくるのよ?混雑は必至だわ。我がガーディアンズには出入港管理官に超過勤務手当を出すだけの経済的余裕は無い、情けない事にね」

「その件については了解しました、出発はいつにいたしますか?」

「明後日午前9時にここを出る。随伴の選定、あなたに任せていいかしら」

「了解しました」

「頼んだわ」

「それにしても、本部は何故今召集をかけたんでしょう」

トレイン少将が司令官オフィスを後にしてから、リー中佐がマハヴィットヤ大将に話しかけた。

「さあね、私に聞かれてもわからないわ。元帥閣下には元帥閣下なりのお考えが有るのよ。それにしてもウチはシヴァ戦線がどうにかなってるから良いけど、()提督なんかはきっと悲惨ね、中華圏が乱れに乱れている今召集だなんて」

彼女が同情するように呟いた相手、すなわちガーディアンズ中華方面軍司令官・()舜臣(スンシン)大将は意外にも余裕たっぷりといった面持ちで召集命令を読んでいた。

「あの、閣下」

「なんだ?」

「その、召集に関してですが、、、」

彼の副官が遠慮がちに尋ねるのを李は笑いながら聞いていた。

「何、折り込み済みだ、君の案ずることではない」

「ですが、対仁戦線が逼迫している今、司令官たる閣下が北京(ペキン)を離れるのはあまりにも危険すぎませんか?」

「なに、逼迫しているからだろう。元帥閣下は近々仁と決着をつけられるおつもりだ、大量建造計画が実行に移される前にな。そのために大規模な会議を開くというわけだろう」

「その際情報を傍受される危険を減らすために対面で、と」

「そうだな、、、いや、そうとも限らんかもしれん」

「どういうことですか?」

「あえて大々的に会議を開くことで注目を集め、情報をリークさせるという狙いがあるのかもしれんな」

「情報を?敵にですか?なんのために?」

「心理的効果は意外と大きな威力を発揮する、、、まぁそう言うことだろう」

今一つ納得の行かない顔をする副官に「今は理解できなくても構わんよ」といって、彼は旗艦・杭州(ハンチョウ)の整備を命じたのだった。

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