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四話目


「メダカって、こんなに小さかったんだな」

「種類にもよるみたいだけどな」

 バケツの前にしゃがんで、中を覗き込んだ。

 透明感のある銀色で、目は名前の通り黒くてデカい。

 後から知るのだが、目がデカいからじゃなくて目が高い位置にあるから「メダカ」なのだそうだ。

 言わなくて良かった。また冷たい視線を浴びるところだった。

 要も隣に座って、小袋に入った餌を見せてくれた。

 土色のパウダー状で、ほぼ土だな。

「きゃなめも、飼ったことあるのか」

「……ないよ。ネットで調べた」

 少量を指で摘まんでパラパラと振りかける。

 要は深爪だ。白くて産毛も薄い手は俺のとは正反対。

 日焼けしてて指の関節も太くて、少し毛も濃くなった気がする。

 爪も邪魔になってからしか切らない。

 今なんて、部活がないから伸びっぱなし。

「餌やりたい?」

「っう、やめとく。でも、少なくないか?」

 最初の声が裏返ってしまった。

 俺が自分の手を見ていたから勘違いしたらしい。

「多すぎると水か汚れる。寒いとあんまり食べないらしい、ほら」

 深いところで漂うように泳いでいる。

 気づいてないのか、メダカの反応が鈍い。

「本当だ」

「もっと寒くなると、冬眠するらしい」

 ちょっと楽しそうな横顔に目が離せなくなる。

 最近はますます感情を顔に出さなくなった気がする。

 クラスの女子がクールだとかほざいているの、知ってるか。

 メダカとの透明感勝負なら、要の勝ちだな。

 なんてな。

「何?」

「っえ」

 急にこっちを見るから、慌てて目を逸らし、頭の中をフル回転させて他の話題を探した。



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