第86話「待ってなさい!」
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「お願いします、サブマスター! 私ロクサーヌが荒れ狂う暴風なら、ステファニー様はその名を遥かに上回る、天をも揺るがす大嵐……すなわちテンペストとお呼び出来る方なのです!」
ロクサーヌ必死の懇願。
遂に根負けしたブランシュの執り成し。
約15分後……炎の飛燕ことミルヴァ・ラハティが了承。
ステファニーはギルドマスターに直接、実力を見て貰える事となった。
さすがの暴風猛女ステファニーも、配下たるロクサーヌの献身を認めたようである。
「ふん! 偉そうに待たせやがって! でも、ロクサーヌ、ありがと。……助かったわ」
「いえ! 当然の事ですっ!」
応えるロクサーヌへ微笑んだステファニーであったが、一転。
表情を険しくして、ブランシュを睨む。
「でも! どうしてディーノが同席しちゃいけないのよ」
そう、ステファニーは、登録に際し、
ロクサーヌとディーノ、ふたりの同席を望んだのである。
対して、ブランシュは苦笑し、答える。
「本来なら登録に付き添いはなしです。だけど、今回はロクサーヌさんが推薦人&保証人って事で特別措置なのですよ」
「なら! ディーノひとりくらい増えてもどうって事ないでしょ?」
「いえ、全部OKしたら、際限がありませんから」
「もう……分かったわよ」
サブマスターを務めているのは伊達ではない。
淡々とした物言いながら、正論で押し通したブランシュは、
反論するステファニーを「ぴしゃり!」と封じた。
そしてにっこり笑う。
「ご理解頂き、何よりです。ステファニー様」
「ふん!」
仕方がないという雰囲気で、鼻を鳴らしたステファニーは、
今度はディーノへ向かって、
「それよりディーノ」
「何でしょう?」
「確か、あんたはランクBだったわね?」
「ええ、何とか」
「だったら! 今日、最低でもB判定で冒険者登録してやるわ」
「せいぜい頑張ってください」
「はあ? うっすい反応ね。愛する婚約者に対して、もっとましな事は言えないの?」
「ノーコメントです。そもそもステファニー様は『愛する婚約者』じゃないですし」
「ふん! 私の耳に雑音は一切聞こえないわ。それより! 登録が終わるまで絶対に待ってなさいよ、帰ったりしたら許さないから」
「帰りませんよ、一応、約束しましたからね」
「もしも帰ったら……ぶっ殺す」
「了解!」
という事で……
ステファニーの姿は、ブランシュ、ロクサーヌと共に、
ギルドマスター室のある階に向かう、魔導昇降機内へと消えたのである。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ステファニー達を見送ったディーノは、
手持ち無沙汰となった。
登録は最低でも、数時間かかる可能性が高い。
ステファニーへ伝えた通り、登録終了までディーノはギルドに居ると約束した。
だから待っているつもりである。
「ぶっ殺す」と脅されたからではない。
よほどの事がない限り約束は、順守する。
ディーノは元々、とても律儀な性格なのだ。
ちらっと、ディーノは業務カウンターを見た。
自分がこれから受ける依頼を、ネリーに問合せて、相談しようと思ったからだ。
しかし未だ『ラッシュ』の時間帯。
押し寄せた冒険者達で、カウンターは大混雑していた。
ネリーは居るのだが、彼女も『てんてこ舞い』という雰囲気である。
多分、どこかの人気店で並ぶ順番待ちの行列の如く……
並んででも何もせず、長い時間を無為に過ごす事になってしまうに違いない。
ネリーと話す事を諦めたディーノは階の片隅にある掲示板へ向かった。
掲示板には、依頼を記した紙が多数、ピン止めされている。
ネリーのような担当者から内々で受けられるくらい、
条件の良い依頼はないと認識していた。
だが、他に時間を潰すあてもない。
仕方なく、ディーノは掲示板をチェックする事にした。
カウンターほどではないが、掲示板前にも依頼を求める多くの冒険者が居る。
ディーノは上手く人混みを抜け、掲示板に貼られた依頼書を読んでみた。
『愛犬の散歩担当者募集、動物好きな冒険者歓迎!』
『自宅前のどぶ掃除をしてくれる人募集。綺麗好きな方、大歓迎!』
『市場の買い物の手伝いを求む、重い荷物を運ぶ為、腕力に自信がある方向き』
このような依頼も冒険者ギルドへ来る。
上級と呼ばれるランカーが見向きもしない雑務も、
低レベルの冒険者やリスクを避ける者にとっては重宝される案件である。
身体の鍛錬につながる荷物持ちはまだしも……
ディーノは、犬の散歩やどぶの掃除をするつもりはない。
他の案件も見てみたが……
やはり「これは!」という依頼はなかった。
首を横に振り、踵を返し、掲示板前から立ち去ろうとした瞬間。
「おい、そこのお前」
と声がかかった。
ディーノが見やれば……
高価そうな革鎧を身に包んだひとりの少年、そして従者という雰囲気の
ふたりの男、都合3人の若い男性冒険者が立っていた。
声をかけたのは3人のうち、少年のようだ。
育ちのよさそうな雰囲気だが……何となく品がない。
「俺に何か用ですか?」
「そうだ! 用があるから声をかけた。……お前は、あの麗しき人と、どのような関係なのだ?」
少年はもどかしそうにそう言うと……
鋭い視線で、ディーノを睨んだのである。
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