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第111話「あんたは、いっつも、ひと言多いのよ!」

「ごらあっっ!!! ディーノぉぉぉ!!! ふざけるなあっ!!! スプーンの先なんてせこい事、言うなあ! ときめきをワイン大樽一杯くらい! 大増量しろ~っ!!!」


普段は超が付くくらい静かなポミエ村の夜……

その静寂を簡単に打ち消すくらいの大音量。

ステファニーの大声が、物見やぐら付近にとどろいた。


苦笑したディーノは、ステファニーの咆哮を軽く受け流し……


「まあ、今の話でようやくステファニー様の本音というか、本当の気持ちが、初めて分かりましたよ」


「ふん! そりゃそうよ。魔法じゃあるまいし、人間が心の内を簡単に読めるわけないわ!」


「……ま、まあ、そうですね」


ディーノは少しだけドキッとした。


『勘』が異常に鋭いステファニーが、

読心魔法の存在に気付いたかと思ったのである。

 

しかし、心配は杞憂きゆうだった。


「ディーノ、あんたとは長い付き合いよね」


「まあ、そうですよね……ざっと4年少しになりましたか」


「だけど、たった4年じゃね」


「はあ……」


「心の奥底までオープンにするのは、段階的というか、相当な時間がかかるものなのよ」


今、ステファニーが発した言葉を、「そのまま返してやりたい」と思う。

だが、大騒ぎになるだけなので、ディーノは単に肯定する。


「そのご意見には、大いに納得します」


「それに……あんたの難度がとんでもなく上がったから、じわじわ攻略して行くのが、すっごく楽しいの」


「はあ? 俺の難度が上がったとか……じわじわ攻略って、そりゃゲームじゃないですか」


「ふん、私にとって、恋愛と結婚は、あんたというラスボスを攻略し、倒すゲームなのよ!」


「いやあ、俺をラスボスにして、じわじわ倒すゲームとかって、勘弁してくださいよ」


「華麗にスルー! それよりさ、攻略で思い出したけど……明日はどう戦うのよ?」


いきなり、ガラリと話題が変わった。


ステファニーの表情も厳しい。

今後の戦局を、楽観視していないのが即座に分かる。


一方、ディーノの作戦は……既に決まっている。

ゴブリンの巣穴――奴らの本拠地へ、ピンポイントに急襲をかけるのだ。


ケルベロス、オルトロス、ジャンの戦友達に尽力を仰いだ上……

巣穴に居るであろう、ゴブリンどものボスを倒し、

統制が乱れたところを一気に殲滅する。

というのが、ディーノの思惑であった。


「ええっと、一応、考えてます」


「一応? 随分のんびり構えてるわね」


「まあ、じたばた焦っても仕方がないですし」


「ふううん……含みがある反応ね。……昼間も言ったけど、王都から援軍は来ないわ。村に備蓄された食料も近いうちに尽きる。消耗戦だと勝ち目はない」


ステファニーは、ディーノが何かを考えていると勘付いているらしい。

 

ここで、頃合いと見たディーノは口調を変える。


「ステファニー様」


「何? 急に真面目な声になって」


「俺の作戦には、素直に、そして必ず従うと約束してください」


しかし、ディーノの申し入れは即座に却下された。


「嫌!」


だがディーノは手綱を緩めない。


「ならば、勝てません。ステファニー様も、このままでは死にます」


「私は絶対に死なないけど……分かった! あんた……無茶するつもりね?」


ディーノの作戦は見抜かれていた。

具体的な内容の看破ではないようだが、

大きな危険を伴うと察知されてしまった。

 

さすがはステファニーである。

まあディーノには想定内の出来事であるが。


「俺の方は、少しだけ危ないかも……でも、まあ大丈夫、何とかなるでしょう」


「駄目よ! あんたを死なせるわけにいかないわ」


やはり……

ステファニーは自分の事を心配してくれている。

『ほんのちょびっと』かもしれないが……


先ほどの告白は、真っ赤な偽りではなかった。

ディーノは……ほんの少しだけ嬉しくなった。


「ステファニー様、その言葉、ままお返ししますよ」


と戻せば、何と!


ステファニーは鼻を鳴らし、頬を赤く染めた。

けして、かがり火の反射ではない。


「ふ、ふん!」


「俺を想ってくれる人を、無茶させて、死なせるわけにはいきません」


「な!?」


ディーノの告げた言葉が『とどめ』だった。

ステファニーは驚き、かっと大きく目を見開いていた。


だがディーノが次に発した言葉は、とてもまずかった。


「だけど、ステファニー様の愛は、少し『いびつ』ですけどね」


言葉が告げられると同時に。


ぱあん!


ディーノの頬が派手に大きく鳴った。

ステファニーが平手打ちをかましたのである。


「もう! 折角、素敵な事言ったのに……あんたは、いっつも、ひと言多いのよ!」


だが、怒りに任せ平手を打ったはずのステファニーは……

反して、嬉しそうに二ッと笑ったのであった。

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