作戦
オーズを麻紐で縛る。
まるで、縛られたハムのようだ。
相手は腐っても貴族だ。
跡が残らないように軽く縛る。
それがどうもオーズには気に食わないようだ。
「もっとギュッと縛ってくれ!」
「そうは申しましても、オーズ様の肌に縛られた跡がついてしまいます」俺は答えた。
正直、こんなヤツ死んでも良い。
ただこんなヤツでも利用価値はあるのだ。
俺は咄嗟に閃いた。
「もしかしたらオーズ様の希望に添えるかも知れません。
オーズ様の使用人の中に、魔法で傷の治療が出来る方はいらっしゃいませんか?。
傷の治療をすれば、全身の緊縛の跡も消えます。」と俺。
「傷の治療の魔法を使えるヤツならいるがな。
全身の治療は無理だ。
魔力が尽きちまう。」とオーズ。
「ここに尽きた魔力を補う『マジックポーション』がございます。
これを使えば全身の緊縛の跡が消せるかと。
ですので、全身食い込むくらい強く緊縛して差し上げられます。」
「おぉ!『マジックポーション』か!。
エルグルではほとんど手に入らないんだが、どこで手に入れた?。」
「今、ヘイムダルが大変な事になっているらしくて、魔術師がエルグルに逃げこんで来てるんです。
ソイツが食い扶持を稼ぐために『マジックポーション』を作って売ろうとして、私もその儲け話に一口乗ろうとしてるんですけど・・・。」
「イマイチその話にのってくる商人が少ない・・・違うか?。」
「その通りです。
何でわかったんですか?。」
「我輩の家は代々『マジックポーション』の専売をしていてな。
『マジックポーション』が大して売れない事は身に染みてわかっておる。
エルグルには魔術師がとにかく少なくてな、『マジックポーション』の需要が少ないんだ。」
「そうなんです。
でももう、魔術師を半年契約で雇ってしまいました。
『マジックポーション』は他所の国に売る事にします。」
「わかった。
我輩を満足させることが出来たら『マジックポーション』の容器を三万個ただでくれてやろう!。
『マジックポーション』には専売権があって、その容器に入ってないと売る許可がないのだ。」
「本当ですか!?。
では心を込めて縛らせていただきます!。」
(このバケモノめ!。
死ね!。
くたばれ!。)
殺意を込めて、縛ってふんずけた。
しかし、オーズは大満足だったらしい。
わからないものだ。