第2話 パーティはみんな特待生!?
入学式の翌日から学院では、午前の4時限は魔法について、午後の4時限は武術についての座学が始まった。
講義が始まって4日目の2限目、魔法についての座学をユキハはトウヤと並んで受けていた。
特待生バッチを持つ手前、なんとなく他の生徒と混ざるのが気が引け、ユキハは学院ではトウヤと過ごす時間が多かった。
「今日は魔法の概要についてだったなーー教科書42ページを開くように。
まず諸君の魔法に関する知識を問いたい。そうだな…ユキハくん答えなさい」
魔法が使えないユキハは回答に悩んでいると、後ろの席の人がハイ!と勢いよく返事をし、立ち上がる。
「魔法とは自身に眠る魔力を使役・具現化することを指します!そのために必要なものが領域展開です。領域とは自身の魔力で展開する世界のことを指します。まずこの世界を展開し、魔法はその中でのみ使用できます。その為、魔法使いに求められる才能とはその領域の広さと純度の高さとも言えます。」
「うむ…完璧な回答だ…だが、何故そこにいる!?」
「マグナ先輩!?」
ユキハの驚愕した声にマグナはVサインで答える。
まだ入学して数日しか経っていないが、マグナ・ゼロ・モノの3人組の人気はすでに知れ渡っていて大きな声援に囲まれた。
「お前らー、今授業中だからな!静かになー」
その一言で周囲はシンと静まり返る。
「んで、どうしてここにいるかだけど、これだよこれ」
そう言い特待生バッチを示すと、教官はぐぬぬ…と黙るしかなかった。
「心配すんなって。邪魔しに来たわけじゃないからさ。この後新入生クエストの話をするんだろ?それで迎えに来たってわけ」
マグナがそう言い席を立つと、教壇の前に立った。
「みんなの授業邪魔してごめんな!
スケジュール表ですでに知っているかもしれないが、来週から2~3週間のクエストが始まる。ここで組んだメンバーは基本1年続くからな。と言っても上級生とのつながりがまだない奴らも多いと思うから明日までに1年生同士でペアを作っていてくれ。
ユキハとトウヤ、お前らは俺らとな。2年も明日合流すっから」
そう言いマグナは教壇から降りると「もういいのか?」という教官に手をひらひら振り、教室から出ていった。
教官が教壇に戻ると、ユキハとトウヤの方へ視線を向け、「頼むから、まともな特待生であってくれ…」と懇願され、2人は苦笑するしかなかった。
翌日、マグナから聞いていた集合場所である時計台前へ2人で来ていたユキハとトウヤは緊張で立ち尽くしていた。
他の1年生たちは既に各々の先輩たちによばれ、打ち合わせ場所から去っているからということもあるが、どんな先輩たちと組むのか…ということに緊張が隠しきれない。
「なぁ、ユキハ。先輩たちから何か聞いてねぇ?」
「あ、昨夜ゼロ先輩から連絡が来てたよ。えっと…」
『夜分にすまん。一緒に組む2年生を教えておくからトウヤにも伝えていてくれ。
魔法学院マトリア校 格闘科2年 特待生 モノ=ステラント
魔法学院マトリア校 銃火器科2年 特待生 カレン=ランフィート
魔法学院マトリア校 刀剣科2年 特待生 アリス=ライバント
だ。カレンとアリスは面倒見がいいし、女性だから安心しろ』
と書かれたメッセージをトウヤに見せた。
「男の人ばっかだったらどうしよう…って思ってたから安心したよぉ…」
「み、みんな特待生なんだな…」
「そうだよー」
2人が編成について話していると、後ろからニカッと笑顔が印象的な女性と、お淑やかにペコリと頭を下げる女性がいた。