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最後のギフト
ー・・・眩しい光に包まれ、再び瞳を開いた詠真の
前には……泣きながら驚く家族の顔があった。
出棺前の棺の中で、突然息を吹き返した詠真に
周りの親戚たちも駆け寄り涙を流してくれた。
【奇跡が起きた】とーー・・・
あれから、20年ー・・・すっかり健康になった
詠真は今度は自分が、同じ病気で苦しむ人達を
救うため猛勉強して心臓外科医となっていた。
あの日、叶えられなかった最後の【願い】を
ずっと願い続けながら……
『やっと逢えたね?詠真ちゃん…』
舞い散る桜の中で、懐かしい面影を宿した
一人の青年が微笑む。
『やっと君を迎えに来れる年齢になれたから…
待たせて、ごめんね?ずっと逢いたかった…』
6歳上で、初恋の幼馴染みのお兄ちゃんは
20年後、6歳下の恋人となった。
(完)