匙の代わりに鉛筆を放る
今日も筆が進まない。
かつてどんな時でも私を楽しませてくれたはずのことは、気付くとただ延々と続くだけの退屈な時間になっていた。
私は執筆が好きだった。
少なくとも昨年、いや先月、或いは先週まではそうだった。
もしかしたら、私は元々執筆が好きでは無かったのかも知れない。
物書きの真似事を始めてから六年もの間、私は執筆から直接的に得られる楽しみではなく、それを友人に見せるという、執筆そのものではない行為を楽しんでいたのかも知れない。
しかしながら、確かに昨年の私は物を書くことを純粋に楽しんでいたはずなのだ。
いや、駄目だ。
こんなことを書いたところで、
白無垢の原稿用紙を染めることはできない。